ロシア支援で同罪の憂き目確実
中国が、もし武器供与などでロシアを支援するなら、中国は欧米との経済関係を「深刻な危険」にさらすことになる。中国を「脅したわけではない」ものの、ロシアの「野蛮な行動」の結果、どれだけの欧米企業がすでにロシアを撤退したかなども指摘した。
これは、中国がロシアを支援すれば、中国を経済制裁して中国へ進出した外資系企業の撤退を促すと示唆したのである。
EU・NATO・G7と西側諸国が、結束してロシアへ対抗する姿勢を見せる先には、中国の行動を見据えている事実がある。ロシアによるウクライナ侵攻では、中国も同時に警戒されているのだ。
これが、中国にとってどれだけ外交的失点であるか。中国は、習近平氏の誤った対ロ判断によって、欧州諸国からの信頼が著しく低下したのである。
中国は現在、対米関係改善の見通しがゼロである。米国は、中国の対外膨張主義がこれから本格化すると警戒している。南シナ海の島嶼占領と軍事基地化。台湾と尖閣諸島への侵攻などとかつての「帝国主義」再来の危険性が迫っていると見ている。
こうした事態の中で、中国が味方につけたいのは欧州のはずである。しかし、中国が侵略者ロシアを支援する姿勢は、欧州全体を敵に回す結果になっている。まったく、アベコベの事態になったのだ。
NATOは、かつてない団結を見せている。中立国のスイスまで経済制裁に参加した。スウェーデンは武器をウクライナへ提供するという、これまで見せなかった危機感に立ち上がっているのだ。「第三次世界大戦」を引き起してはならない、という切迫感である。
中国は、こういう欧州の空気を読めず、国連では「棄権」というヌエ的行動に逃げている。中国の行動は、これまで宣伝してきた「平和論」に大きな疑念を抱かせたのだ。
習近平の野望を砕くロシア経済制裁の凄まじさ
習近平氏は、プーチン氏を「盟友」として遇している。ロシアによる米国への対抗姿勢を踏台に、世界覇権を狙いたいという野望を持っているからだ。
そのロシアは、兄弟国であるウクライナを侵略する、21世紀においてあり得ない暴挙に出た。中国の「平和論」に基づけば、侵略戦争を止めるべきであった。それを放置して、国連の場では戦争に「反対」せず「棄権」という行動に出ている。はっきりと、「頭隠して尻隠さず」の愚行に見えるのだ。
次に指摘するように今後、ロシア経済は「第2のイランやベネズエラ」になるだろうと予測されている。中国は、この零落するロシアを盟友として扱えば、「共倒れ」の危険性も出てくる。
習近平氏が、いかに外交的に見通しが甘く、失敗したかがこれから明らかになるであろう。
西側諸国のロシアへ向けられた怒りは、強力な経済制裁として発動され、ロシア経済を奈落の底へ追詰めるはずだ。
それは先ず、ロシアの最大の輸出産業である原油や天然ガスに現れる。老朽化が進むロシアの油田やガス田の維持は、西側の技術に依存している。西側の技術と資金が打ち切られれば、新規油田の開発もできない。こうして、生産は低下の運命である。
需要面でも異変が起こっている。最大の需要先である欧州が、ロシア産の原油や天然ガスの輸入を減らし、2027年にはゼロにする方針を立てたのだ。
以上の通りロシアは、原油や天然ガスの需要と供給の面で、最大のピンチを迎える。ロシア経済は立ちゆかなくなるのだ。