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「円独歩安」を疑え。ドル円はみなが思っている以上に早期ピークアウトする=脇田栄一

連続利上げが本格スタートしたとして、ドル円上昇はそれに比例しない。あくまで早期にピークアウトする可能性は高くなっている。

プロフィール:脇田栄一(わきた えいいち)
FRBウォッチャー、レポートストラテジスト。1973年生、福岡県出身。個人投資家を経て東京都内の大手株式ファンドでトレードを指南。本来は企業業績を中心とした分析を行っていたが、08年のリーマンショックを経験し、マクロ経済、先進国中央銀行の金融政策の影響力を痛感。その後、FRBやECBの金融政策を先読み・分析し、マーケット情報をレポートで提供するといった業態を確立。2011年にeリサーチ&コンサルティング(現eリサーチ&インベストメント)を起業。顧客は機関、個人投資家、輸出入企業と幅広い。

ドル円はみなが思っている以上に早期ピークアウトする

恐縮ながら、以下は私のブログの先月29日記事から局所抜粋。

ユーロ圏に英国、米国は利上げ方向、日本は違う。もうこれだけで(現時点の方向が継続する限り)紆余曲折はあれども円安方向、円独歩安と捉えてもおかしくないわけです。<中略>

122円後半の段階で、金融当局による50bp引き上げ発言を織り込む動きが若干入っていると。よって4月3週‐3週明け(20日前)には25bp or 50bpが明確になるので(自分の中では)、前者であれば123前後継続、後者であれば短期の利回りに伸びしろあり、さらに伸びる、としていた。(局所抜粋)

※参考:Update2: 不確実性に包まれるウクライナ情勢(インフレ見通し) – ニューノーマルの理(2022年3月29日配信)

「2週あたりまで(123円弱)」、としたのは6日に3月FOMC議事録、12日には3月CPIが公表されるから。

なので「2週あたり」っていうのは、具体的には3週月・火(12日)あたりまでっていうことになります。この2つのイベントが利回り変動要因となる可能性が高いので。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

そして今回、誤解なきようお伝えしようと思ったのは、上リンク(抜粋部)で円独歩安に触れたでしょう?しかし、これは文字通り「一般論として捉えてもおかしくはない」ということであり「独歩安になる」と断言しているわけではないということ。そして、仮に50bpであればさらに伸びるとしているが、政策金利公表は5月4日。日本は連休なわけです。

一般の人が漠然と「130円、それ以上」と根拠ナシの占いみたいなことを言い出した(これもポイント)。時間軸は重要なのだが、それも夏とか今年中とか。それだけで予測とはいえず、あくまで無意味な予想。マっそれを置いといたとしても、ドル円レートがどのあたりでピークアウトするのか、自分なりの予測はあるわけです。

私の言っていることが矛盾しているように伝わるかもしれないが、それは多くの人が思っている以上に早期にやってくる。

そりゃー何らかの突発的な材料や仕掛けで瞬間的には大きな数値をつけることはあるわけですが、それはあくまで基調的な話。

連続利上げが本格スタートしたとして、ドル円上昇はそれに比例しない。あくまで早期にピークアウトする可能性は高くなっている、ということです。一定程度の根拠あり。

ただユーロ圏における金融政策のロードマップが不透明なので、それによっても左右される。そのときはその都度お伝えする次第。

追記

さっそくというべきかパウエルと議長レースを争ったブレイナードが引き締めに関し踏み込んだ(踏み込み過ぎた)発言をしたことでドル円は上昇、これは想定外の出来事になります。普通言わない。逆に議長でないからこそこまで言えたのかなと。

この発言がマーケットに影響力をもつ限り、当面株式(ダウ平均基準)は昨年高値を追う位置にくることすら難しくなった(と想定)。株式が続落となれば、これを振り払う発言がパウエルからでる可能性はあるが、今回のブレイナード発言は、バランスシート縮小に失敗した2018年への挑戦にもみえる。利上げに関し”methodically”というワードを使用した。

We are prepared to take stronger action(ブレイナード)ってさ、議長じゃないんだから我々は準備ができている、ってのは行き過ぎなんですよね。この人はブラックアウト期間内に発信して問題になったことすらある(問題視したメディアがごく一部いたが、あとは完全スルー、個人的にはすぐに目に付いた過去。あきらかなハンドがエリア内で取られなかった、みたいなもの)。

経済のダウンサイドリスクを念頭にイールドカーブ監視にも踏み込んだ。ただ、こんなことをいえばいうほど(今話題にされている)2年・10年のイールドカーブは逆転現象を起こしやすいわけです。本来のイールドカーブ(3ヵ月・10年 ※拙著『為替の基本とカラクリがよ〜くわかる本[第2版]』参照)と乖離しているでしょう?

つまるところ言えば言うほどドル円はピークアウトの時期が前倒しされるという、ちょっと2段構えというか3段構えの(個人的な)論理があるんですよね。これはこの記事の主旨なんですが踏み込むつもりはあまりない。大まかにでも伝えないと、コイツ外しやがった的な感じになるのが嫌なんですよね。失敬

image by:Casper1774 Studio / Shutterstock.com

本記事は脇田栄一氏のブログ「ニューノーマルの理(ことわり)」からの提供記事です。
※タイトル・リード・見出しはMONEY VOICE編集部による

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