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参院選目当て?「給付型奨学金」受給の年収条件緩和を検討も“理系&多子世帯のみ”の制限付きで「やってるふり」「分断を招く」との批判殺到

政府が新たに大学生向けの「給付型奨学金」を拡充することを検討していると報じられたものの、その内容に関してSNS上では否定的な声が多く飛び交っている。

報道によると、中間層の教育費負担を軽減させることを狙いとしているというこの施策。対象となるのは、世帯年収の目安が380万~600万円の家庭で、子どもが3人以上の多子世帯、さらに理工農学部系の学生ということだ。

広がる“給付型”も条件はかなり厳しい?

奨学金といわれて、多くの方が恐らく思い浮かべるのは、いわゆる“貸与型”のもの。 無利息あるいは利息付きの奨学金を、大学などを卒業した後に返還していくのだが、社会人になった後にも収入が思うように上がらず、返済に窮するケースが激増しているのが大きな問題にもなっているのはご存じの通りだ。

そのいっぽうで、日本学生支援機構が2018年から導入を開始したのが、返済不要の「給付型奨学金」で、2020年4月からはその給付型奨学金にプラスして授業料・入学金の免除もしくは減額がされるという新制度もスタート。ただ、それの対象となるのは住民税非課税世帯およびそれに準ずる年収……だいたい約380万円未満の世帯の学生に限られていた。

今回検討されている制度の拡充では、対象となる世帯年収がいわゆる“住民税非課税”水準から600万円までの拡大が検討されている。国税庁の調査によると、年収600万以下は全体の8割ほどだということから、世帯年収だとして考えても、確かにかなり多くの世帯に利用の可能性が広がるようだ。

しかし、今回検討されている制度に関しては、世帯年収だけではなく「子どもが3人以上の世帯」「理工農学部系の学生」という条件も加わる。ちなみに、厚生労働省が3年に一度行う「国民生活基礎調査」の結果によると、子どもがいる世帯のうち「子どもが3人以上の世帯」は14.2%にとどまるとのこと。

さらに「理工農学部系の学生」だが、文部科学省の「学校基本調査」をもとに調べると、それらの割合は全学生のうちだいたい20%ほどの割合。このように世帯年収の面では対象者の幅がグッと広がった印象はあるものの、「子どもが3人以上の世帯」「理工農学部系の学生」という新たな条件によって、その幅が逆にグッと狭まる格好となっている模様だ。

学部での限定に「分断を呼ぶ」との声

SNS上の反応をみても、対象となる世帯年収の引き上げで、中間層の教育費負担を減らすといった狙いは百歩譲って良しとしても、やはり「子どもが3人以上の世帯」「理工農学部系の学生」という、新たに出てきた“制限”に対しては「新たな分断を呼ぶ」などといった否定的な声が多く噴出している。

さらに、小沢一郎氏も自身のアカウントで「やってるふり」「完全に国民を馬鹿にしている」と発言するなど、野党サイドも今回の政府案にこぞって批判の声をあげており、新たな論争のタネにもなりそうな情勢だ。

来る夏の参院選に向けて、18歳以上の学生やその親世代を狙い撃ちにした、いわゆる“懐柔策”だという見方も広がっている今回の施策だが、その対象がかなり絞り込まれている分、それを支持するといった声も極めて限定的といったところだ。

Next: 「資産持ってる年寄りには年金をバンバン配るのに…」

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