神奈川県横須賀市の市立中学校で、プールの給水栓を約2か月間ほぼ開けっ放しの状態にしていたことで、約423万8,000リットルの水道水を無駄に垂れ流していたことが発覚した。
報道によると、流出した水道水は25メートルプールで換算すると10~11杯分だということ。上下水道料金の損失額は約348万円に及ぶといい、横須賀市はその半額をプール管理の担当教員(約87万円)、校長(約43万円)、教頭(約43万円)の3人に、損害賠償として請求したという。
流出の原因は、新型コロナウイルスの感染を防ぐために、担当教員がプールの水を常にあふれさせて水質をきれいさせる必要があると勘違いしていたため。別の教員が気付いて栓を閉めても、そのたびに担当教員は給水栓を開いていたという。
「全額教員が負担すべき」という声も
昨年2月には、兵庫県庁にある貯水槽の排水弁を職員が閉め忘れたのが原因で、約600万円もの水道代が余計にかかる事態が発生。担当の職員が半額相当の300万円を個人的に支払ったことが大きな話題になるなど、教師をはじめとした公務員が水道水を無駄に垂れ流してしまい、大きな損害を出してしまうといった話は枚挙にいとまがない。
またプールの水でいえば、昨年も高知市内の小学校で、水を1週間止め忘れたことが原因で、下水道代が例年の同時期と比べ10倍ほどになってしまったという出来事があり、この際も損失額の半額程度となる金額を、担当教員・校長・教頭の3者で弁済したという。
以前までなら、公務員らがこの手のミスを犯し多額の損失を出したとしても、公費でサラッと補填していたことも多かったようだが、最近は市民からの目も厳しくなっているとあって、担当者やその管理者が分担して“自腹弁償”するケースが増加。さらにその自腹での弁償額は、今回の件もそうだが実際の損失額の半分程度に設定されることが多いようである。
そんな自腹弁済に関しては、過去にもネット上で「さすがにかわいそう」「職員を委縮させる」といった声も少なからずあがっていたのだが、過去のケースに関してはヒューマンエラー、すなわち“うっかり”が原因で損害が出ていたのに対し、今回は担当教員による“コロナ発生を防ぐため、水を流しっぱなしにしてキレイにする”という、いわゆる“コロナ脳”と言われても仕方のないような勝手な思い込みのもと、故意で給水栓を開けっ放しにしていた点が大きく異なるところ。
しかも他の教員が給水栓を閉めても、ご丁寧にも再びその栓を開けていたという頑固ぶりとあって、自腹弁済になったことへの同情論は少なく、むしろ「全額、その担当教員氏に賠償させるべきでは?」「校長と教頭のとばっちりが…」といった声が多く聞かれるような状況だ。
>別の教員が気付いて栓を閉めることがあったが、そのたびに担当教員が給水栓を開いていた。
全額、その「担当教員」氏に賠償させるべきでは?
学校プールの水 2カ月出し続ける 横須賀市、教員らに賠償請求 11倍の水道料金で発覚 (神奈川新聞) – goo ニュース https://t.co/TGVEZiFzeA
— アシスト🍜🇺🇦 (@byassist) April 21, 2022
>別の教員が気付いて栓を閉めることがあったがそのたびに担当教員が給水栓を開いていた
独りよがりで意固地な思い違い教員の為に1/4づつ払わされた校長と教頭のとばっちりがパないねえ
学校プールの水2カ月出し続ける 横須賀市教員らに賠償請求 11倍の水道料金で発覚 https://t.co/1Wd12Z2EVo— 小豆長光🇺🇦交通事故☠️ (@azukiosamitu) April 22, 2022
教員不足の状況がその質の低下も招く?
いっぽうで今回の件に関しては、SNS上から「日本の教育者のレベルの低さが恐ろしい」などと、昨今の教員たちの質の低下を嘆く声も多い。
『新型コロナウィルス感染を防ぐために、プールの水を常にあふれさせて水質をきれいにする必要があると勘違いした』
日本の教育者のレベルの低さが恐ろしい。こんな連中が中学生の教育をしてるんだから、日本人の8割が馬鹿になるのも当然だよ。https://t.co/guhGm1HP3g
— 説教おじさん (@partyhike) April 22, 2022
教師なのにお馬鹿すぎやしないか❓
教師自身、子供時代からプールに入る度に消毒用の塩素の匂いに疑問を持たなかったんだろうな…
学校プールの水 2カ月出し続ける 横須賀市、教員らに賠償請求 11倍の水道料金で発覚#Yahooニュースhttps://t.co/LHnzrqY7NA pic.twitter.com/hTGrCnybNn
— 猫ゲーマー (@fate565) April 22, 2022
昔は子どもらの憧れの職業のひとつで、実際に目指す者も多かった教員だが、今ではその数がかなり不足しているようで、文部科学省が昨年度に行った調査では、4月の始業日の時点で全国の公立小中学校や高校などで、計2558人もの教員不足が明らかになったという。
それを受けて文科省は、教員免許がなくても知識や経験がある社会人を採用できる特別免許制度を呼びかけるとともに、今国会では教員免許更新制の廃止を盛り込んだ法律の改正案も審議されているとのこと。
ただ、このような教員不足の状況は決して制度上の問題ではなく、多くの雑務にくわえて部活指導で土日も出勤、さらに急増するモンスターペアレンツへの対応など、凄まじいほどの激務なのにも関わらず、残業代が出ないなど驚くほどの薄給だという、その劣悪すぎる労働環境こそが招いたものだという声も、SNS上では根強い。
深刻な人材不足で教員免許が無くても教壇に立てる特別免許制度の積極活用を促す緊急通知を文科省が出したようですが…人材不足の原因は『免許の有無』というより『薄給激務で劣悪な労働環境』だと思います。働き方改革を進めずに教員のやりがいを伝えるだけでは、いつまでも教員不足など改善しません。
— Childish Teacher (@TeacherChildish) April 21, 2022
「教員不足」という現実に対する自民党政府の回答が、事実上「定額働かせ放題」となっている給特法の改正など、教職が敬遠される要因である劣悪な待遇の改善ではなく、教員免許を持たずとも教員として採用出来てしまう「特別免許」の活用という、全く的外れなもので絶句。 https://t.co/rXE1JIL348
— 異邦人 (@Narodovlastiye) April 22, 2022
要は、まともな社会生活を送ろうと考えている人間ほど、どんどん教師を辞めていき、さらには目指す者も少なくなっているという今の状況。このようにしてなり手が減っていけば、教員自体の全体的な質も低下していくことは想像に難くなく、結果今回のようなちょっとおかしな発想を持つ教員が淘汰されず、現場に残り続けるということに。今回のように教員の“素養の無さ”により、大きな経済的損失を招いてしまうといった事態も、そう考えると今後も続々と起きるのではないかという予感がしてならない。
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