円安最大のデメリット
一方、円安には大きなデメリットがあります。
それが輸入価格上昇。つまり企業のコスト増加です。
さらにロシアウクライナ情勢の影響で様々な原材料が上がり、世界中でコスト増加の影響をもたらしています。
一見すると黒田総裁の円安がプラスになるという方向性は、必ずしも当たっているとは言い難い状況です。
しかし同時に日本銀行がこの状況を把握していないとは思いません。なぜ日本銀行は円安を受け入れ、金利上昇を阻むのでしょうか。
日本銀行が考える最悪のシナリオ
キーワードは「金融抑圧」です。金融抑圧とは簡単に言うと金利を押さえ込むことです。
現在、日銀では約100兆円の歳出があるなか、その約10%(10兆円)が金利の利払いに当てられていると言われています。日本の国債の金利はほぼゼロであるにも関わらず、これだけの利払いに追われているのです。
その状態で仮に金利が上がってしまうと日本銀行としては財政難に陥ってしまいます。
もし本当に財政難が起こると日米金利差に関わらず、日本円は叩き売られ現在とは比べ物になら
ない円安が待ち構えています。この場合、とうとう輸入によって原材料を仕入れることができず日本の経済は本格的に停止します。
これを避けるためにも日銀としては金利を上げるわけにはいかないのです。
日銀が本当に狙っていることは目先の為替動向よりも日本の財政難、これを阻止するために全力で動いていると言えるでしょう。