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決済代行業者、阿武町へ3,500万円返還に「ガサ入れ除け?」との見方。大盛り上がりな誤送金騒動の“幕引き”を当事者以上に願うオンラインカジノ界隈

給付金4,630万円の“誤送金”問題を巡り、逮捕された田口翔容疑者が利用していた決済代行業者のひとつが、3,500万円余りを山口県阿武町の口座に返還していたことが分かった。

報道によると、先日逮捕された田口容疑者は誤って入金された4,630万円を、3つの決済代行業者に繰り返し出金していたとのことだが、今回返還があったのはそのうちの1つの業者からだという。

返還されたのは今月20日のことで、田口容疑者はこの業者に27回にわたり出金していたようだが、今回返還された額はそのほぼ全額とのこと。阿武町はこの件に関して「コメントは差し控えたい」としている

思いもかけない脚光を浴びるオンラインカジノ

誤送金4,630万円のほとんどがオンラインカジノに投じられたとされ、それを取り戻すのは相当難しいと思われていたなか、全額とはいかないものの戻ってきたということで、阿武町や納税者である同町住民にとっては吉報ともいえる今回の報道。

いっぽうで、今回の件で別段不法な行為をしたわけでもない決済代行業者が、どうして返還を行ったかに関しては、“ガサ入れ”を回避するためではという見方が大勢を占めている模様。とりあえず早期に返金しておけば、今回の件における“金の流れ”に関して捜査の手が入る可能性が低くなる……といった思惑だ。

コロナ禍による外出や海外渡航の自粛を背景に、日本でも密かに人気が高まっているオンラインカジノ。ご存じの通り日本では公営ギャンブル以外の賭博が禁止で、オンラインカジノも違法なのだが、海外のカジノ業者を取り締まるのは困難とあって、まったくの野放し状態だ。

そんな状況もあって、オンラインカジノへの日本からのアクセスは近年伸び続けており、報道によると、2018年12月には月間約70万回だったのが、21年9月にはなんと約8,300万回と、3年間で実に100倍以上に。今では日本からのアクセス数はアメリカ、ドイツに次ぐ世界3位となっているという。

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そんなオンラインカジノ人気の高まりに伴い、それへの入金手段である決済代行業者の利用も増えていったわけだが、今回の誤送金騒動によって、それまでは主にギャンブル好きからのみの注目にとどまっていたオンラインカジノ、さらには決済代行業者の存在が俄かに取沙汰される事態に。そうなると、今後考えられるのがそれらへの猛烈なバッシングなどの動きだ。

相次ぐ世論の声への“過剰反応”

いわゆる“誤送金”自体は、過去にも何度も起きている事象でそう珍しいものではないにもかかわらず、なぜだか異様に注目される事態となっている今回の件。

振り返ってみれば阿武町にしても、事の原因は自らのミスが原因ということで、当初は追及の手も緩やかだったものの、そんな世論の盛り上がりや町への批判の声を受ける形で、本名の公表や提訴といった“態度硬化”に転じていくことに。

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また、さらに驚きだったのが山口県警による田口容疑者の逮捕だ。確かに、容疑者に対しては「こんなヤツ早く捕まえろ」といった声も少なからずあがっていたのだが、県警にとってはそれが大きなプレッシャーとなったのか、電子計算機使用詐欺という取って付けたような罪状を持ち出して、逮捕に踏み切ることに。これには阿武町長も「率直なところ驚いた」とコメントしたように、誰もが想定外の展開だったのだ。

今回の誤送金騒動だが、明らかに間違って振り込まれた金を使い込んだ田口容疑者が悪いという声が多い反面、盗人にも三分の理ではないが「町が誤入金しなければ起きなかった」と、容疑者を擁護する見方も根強い状況。要は“絶対的な悪”が不在となっているなか、田口容疑者の射幸心を大いに煽った存在であるうえに、そもそも日本国内では違法であるオンラインカジノ界隈が、心おきなく叩ける対象として、今後大いにクローズアップされる可能性が大いにある。

現に国民民主党の玉木雄一郎代表は、先週末に大阪市内で行った参院選候補者の応援演説で、「誤って振り込んだ役場も問題だと思うけど、明らかになったのはオンラインカジノですよ」と語り、オンラインカジノ依存症対策に関する法整備に意欲を見せているようだ。

この流れが他党にも波及すれば、今後オンラインカジノ利用者を罰しやすくするための法整備にくわえ、さらに決済代行業者に関して、今回のようなオンラインカジノ絡みにくわえ、さらにはマネーロンダリングの温床となっているというレッテルを貼られ、規制がより厳しくなる可能性も無きにしも非ずなのだ。

田口容疑者の逮捕後も、報道やSNS上の盛り上がりが変わらず続いている今回の件。ある意味で容疑者本人や阿武町以上に、オンラインカジノ業者や決済代行業者がそれらの早い沈静化や幕引きを願っているといった状況のようだ。

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