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誤送金4630万円でFIREできるのか?町は本名公表&提訴の強硬姿勢。渦中の空き家バンク移住24歳男性は逃げ切り姿勢も「その額では無理」との声

このところ連日報じられている、給付金4,630万円を誤って1世帯に振り込んでしまったことに端を発した騒動だが、返金を拒んでいる男性住民の人物像が徐々に明らかになって来たようだ。

報道によると、渦中の男性住民は24歳の若者ということで、山口県阿武町には「空き家バンク制度」を利用して、わずか1年半前に引っ越してきたばかりだという。同町の公式サイトには、今回の件の経緯と町側の対応を記したリリースが掲載され、そこには当該男性の氏名・住所も記載されているようだ。

「お金は戻せない」「犯罪になることはわかっている」などと話し、返金を拒んでいた24歳男性だったが、お金のほうは振り込み口座とは別の口座に移されているようで、現在はすでに勤め先を退職し、連絡も取れない状態とのこと。阿武町は、24歳男性に対して給付金の返還を求める訴訟を起こすことを議会で決め、給付金全額と弁護士費用などをあわせた5,115万9,939円を、住民男性に請求するという。

海外逃亡も今は円安…4,630万円でFIREは困難?

当初は誤送金をしてしまったという負い目もあってか、追及の手が緩いのではという印象もあった阿武町だが、渦中の男性住民が完全に“逃走モード”に入ったことを受け、さすがに態度を硬化。町長も「当初は申し訳なかったけれども、もう完全に私は犯罪者だというふうに思います」コメントするなど、かなり鼻息が荒い。

いっぽうで、4,630万円を持ち逃げする格好となっている24歳男性だが、SNS上ではこれを原資に、いわゆる「FIRE」を決め込もうとしているのでは……といったことも、大いに取沙汰されているところだ。

経済的に自立し早期リタイアを目指すことを指す「FIRE(Financial Independence, Retire Early」に関しては、近年多くの若者が熱視線を送っており、FIRE実現を指南する書籍なども多くみられるが、それらのなかで定説とされているのが「年間支出の25倍の資産を年利4%の運用益で回せばFIREを実現できる」というもの。

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ただ、若いうちからそういったまとまった資産を持っているケースはもちろん稀で、ましてやゼロから貯めようとしても、“給料が30年上がらない”今の日本では、それこそ死ぬまで働いても無理といった状況。そのため最近では、年間の支出を低く見積もることで、FIRE達成額を下げるといったことも提唱されているようで、具体的には「年間支出250万円なら6,250万円でFIRE」といったラインが、いたって現実的なところとして目指す者が多いようなのだ。

ただ、そう考えると男性住民が持つ4,630万円は、上記の現実的なFIRE達成のラインにはやや届かず、仮にその金額で無理やりFIREするとなれば、年間支出は約180万円、月にならせば15万円の支出しか許されないという、相当厳しい生活を強いられることに。

これだと住居費が高くつく都市圏で暮らすのは無理で、郊外や地方の田舎での生活を強いられることになりそうだが、すでに名前も事実上公表されているうえに、今回の件も「空き家バンク制度」を活用して移住してきた末での不義理なだけに、それもままならなそうである。

となれば国内は諦め、住居費・物価が日本よりも安い途上国などの海外で暮らすことを選択せざるを得ないが、よりによって昨今は20年ぶりとも言われる円安傾向。要は、持ち逃げ男性にはまったく追い風が吹いていないといった状況なのだ。

4,630万円という中途半端すぎる金額

このように、持ち逃げした金でのFIREが非常に厳しく、さらに包囲網のほうも徐々に狭まっているという状況となれば、現在の持ち金を急いで増やそうとする動きを取る可能性も、大いに取沙汰されているところ。

そうなればギャンブルに手を出すしかなさそうだが、パチンコ・パチスロの類だと一人で使い切るにはある程度の時間がかかるということで、やはり公営競技で勝負という流れか。“幸いに”といっていいのかは微妙だが、男性住民が住む山口県は瀬戸内海沿いに東から徳山ボート、防府競輪場、山陽オート、下関ボートと並び、さらに九州へ渡った先の福岡県北九州市には小倉競馬場、若松ボート、小倉競輪場があるなど、日本でも有数の公営競技密集地帯だ。

もしもその勝負に勝てば、それこそより好条件でのFIRE達成となり、場合によれば持ち逃げした金を、町に利子を付けて返せる……。当然ギャンブルなので、そう話がうまくいく確率はごく低いのだが、そんな一縷の望みにこの男性が賭けようとしている可能性も、無きにしも在らずといったところだろう。

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渦中の24歳男性だが、その人となりまでは今のところ明らかにはなっていないが、その若さで空き家バンクを利用して田舎に引っ込もうとしていたところや、誤って振り込まれた金を後先考えず持ち逃げしようとしていることからも、その性格はある意味で厭世的というか、将来への明るい展望はあまり持ち合わせていなかったのではとも推測されるところ。

そんな男性のもとに、降って湧いたようにもたらされた4,630万円だが、それはまとまった形で手にすることがなかなか叶わなそうな大金ではあるものの、とはいえそれで人生逃げ切りとはいかないという、実に中途半端な金額。それだけに目下逃走中の男性も、その持て余し気味な大金の使い道について、いまだ逡巡している最中なのかもしれない。

Next: 「自分のその後の人生と4630万円を秤にかけたんだろう」

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