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「貯金だけ」の日本人が今やるべき資産防衛術。花輪陽子・山田真哉【特別対談】

日本国内では2極化する円安の影響

内田:ありがとうございます。山田さんはどうですか?やっぱり日本に今住んでるわけじゃないですか。

山田:日本に住んでいて、100%日本の収入で円でもらっていますね。

内田:そうすると、円安は深刻になってきますよね。

山田:やばいですよね。今回の円安は初めての経験だと思ってます。僕は今45歳ですけれども、こんな形の円安って今までなかったですから。1998年や1999年とか辺りの円安は、その前が円高が行き過ぎていただけで、その反動でした。アベノミクスがスタートした時も円安は急激でしたが、民主党時代が80円ぐらいだったのが、一気に120円になったのがありましたけど、あれも反発だよねっていう説明がついたんです。でも、今回は全然反発でもなんでもないじゃないですか。

純粋な円安という初めての状況になってきているので、本当にどうしようかとなと思っています。僕は会計士事務所をやっていて、色んなところの会計を見てるんですけども、日本の会社は本当に両極端になっています。

すでに発表されている情報なので言いますけど、僕が社外役員をやっている「ブシロード」というゲームソフト会社は、海外向けにもカードゲームやアプリゲームとか提供しているので、現地で稼いで外貨は置きっぱなしにしているので、ただただ為替差益が出まくる。

そういう会社もあれば、海外のアートを輸入するような会社は困っている。例えば2年ぐらい前に分割で払いますと買う約束をしている。そういう場合、製造業や輸出業の大企業なら為替の対策をしているから、当時の110円なら110円のまま3年間分割で払います、となるのですが、中小企業だと為替の対策はやっていないんです。そうなると、最初110円の計算で3年間分割で買い始めたら、今月末の払いは135円で払うことになる。もう、ただただ地獄というか、ずっと祈るしか方法がない。

内田:結局、赤字になっちゃう可能性がありますよね。

山田:赤字です。資金繰りが持たないので融資を受けなきゃいけないけど、緊急の円安の融資もどこまで対応するのかっていうのもあるので、本当にただただ困っている。何もしなくても、ウハウハな会社もあれば、ただ困っているっていう会社、というように二極化が日本では起きています。

内田:結局、輸入して国内でビジネスしている会社が厳しくて、コロナ禍もあって、ずっとここ2~3年も苦しいままできた中で、また円安が追い打ちをかけてる感じがしませんか?

今回の円安は長期的に続くものなのか?

山田:この円安には見方が二つあって、これが一瞬のことなのか、ずっと続くことなのかで、話はだいぶ変わってくると思ってます。

内田:花輪さん、どうですか?これは一瞬のことで終わるのか、長期化しそうなのか。どのように見ていますか?

花輪:マクロ的には長期化しそうです。日本の財政、世界との物価の違い、あとはチャートを見ても、もっと円安は進みそうだって言ってる方が多いです。直近、ジム・ロジャーズさんにも取材しましたが、彼もマクロ的に円安になると言っていますし、円安に向かうという見方が多いです。

内田:ちなみにどれぐらいまで、円安が進むという目安はありますか?

花輪:目安としては、極端な人だと1ドル365円とかもっといくと言ってる人もいますね。でも、もしそうなったら、日本の借金が目減りして海外純資産がすごい増えるから、日本の収支は良くなるのかもしれないんですが、国民にとっては最悪ですよね。本当にそういう時代も歴史の幅を広げるとあったので。175円に行っても不思議ではないチャートの形もしていますし。

内田:山田さんはどうですか?金融政策も中央銀行によって全然違いますよね。日本がまだまだ緩和政策を取っている中で、他の国々は引き締めに入ってて、そこも大きく影響していると思うんですけれど、他にもいろいろ問題があるんですかね?

山田:逆に僕は、そこが一番でかいと思っています。明らかに政策が違う。今は日本円を売ってドルを買ったら、それだけ金利差で儲かるよねっていう、わかりやすい状況なので、長期化するか、一瞬で終わるのかっていうと、多分一瞬では僕も終わらないと思っています。ただ、一瞬で終わる可能性があるとしたら、今の日銀の黒田総裁の任期が来年の4月で切れるので、新しい人に変わるタイミングがポイントだと思います。アベノミクスの時も白川さんから黒田さんに日銀の総裁が変わった時に一気に円安になったのと同じように、日本もインフレ退治をやるんだっていう風になれば、一気に110円とか120円に戻る可能性もあると思いますし。

内田:巻き返しが起こると。

山田:そう、巻き返しです。結局、急に来るものって急に戻る。過去のアベノミクスもそうですし、その前の時もそうだった。基本的には、じりじり円安になっていくんでしょうけど、ここまで早いことはないと思います。

あとは参院選ですね。参院選が今、自民党圧勝の流れの中、ここでいやいや岸田インフレ、黒田円安っていうのが意外な重圧となって、参院選で野党が善戦するようなことがあると、自民党が黒田さんに圧力をかけて、黒田さんが、すみません、家計のこともちょっと見てみましょうとなる。そして今回のことを撤回して、一気に引き締めに入る。もしくは、可能性は少ないけど、めちゃめちゃ米国債を売りまくる。そういうことが選挙か黒田さんの任期満了のタイミングで起こる可能性はあると考えています。

内田:花輪さんも、流れが変わるタイミングとしては、そういう選挙だと考えていらっしゃいますか?

花輪:日本だけではなくて、為替は世界との相対的な関係なので、10月に中国の共産党大会もありますし、11月にアメリカの中間選挙がありますので、やっぱり中間選挙に向けてバイデン政権はインフレと戦う姿勢を取っているので、そこからの方向転換があれば、巻き戻る可能性あると思います。でもマーケットは今の時点で12月まで織り込んでいるので、選挙で凄く結果が変わるとか、織り込んでないことが起こると動く可能性はあると思います。今年は、株式や為替は動きやすいと思います。

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