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そごう・西武売却、米ファンド「優先交渉権獲得」で百貨店はついに衰退へ。今後の展開と手放すセブン&アイの次の戦略は?=澤田聖陽

なぜ百貨店の衰退は起こったのか?

バブル崩壊後に専門店やショッピングモールなどの業態が拡大し、2000年代以降はイーコマースにもシェアを奪われたように、競合となる業態が台頭する中で、百貨店は一方的にシェアを奪われる立場であった。

消費者側が百貨店に特別の感情を抱かなくなり、数ある選択肢の中から百貨店での購入を選ばなくなったということである。(かつては百貨店で購入するというステータスが存在したが)

また昭和の時代までは、百貨店に行くというのはレジャーである側面もあったのだが、今ではその役割は郊外のショッピングモールに奪われてしまっている。

消費者の心を掴めなかったのは、百貨店衰退の大きな要因だろう。

もう1つアパレルメーカーなどの供給者側から百貨店の魅力がなぜ落ちたのかを見ると、百貨店の「消化仕入れ」という商習慣が、直近ではメーカーにとって非常にデメリットの多い制度となっているのに、百貨店側がその商習慣をなかなか変えられないという点が挙げられる。

消化仕入れという商習慣では、百貨店の店頭で置いてある商品はアパレルメーカーなどの生産者の所有物であり、売れた時に初めて百貨店側がその商品を仕入れたこととなり、その売上高の一定割合を仕入れ代金として取引先であるメーカーに支払うというものである。

この制度だと、メーカー側が一方的に在庫リスクを背負うこととなる。

百貨店の集客力や販売力が圧倒的に強く、百貨店で売れば必ず売れるという時代であれば、メーカー側も在庫リスクを取ってでも百貨店で商品を売りたいと思うだろうが、百貨店の集客力や販売力が落ちた現在では、メーカー側にとっては重荷でしかないというわけだ。

メーカー側は、そんなリスクを取るぐらいであれば、賃貸借契約で出店できるショッピングセンターに出店したり、イーコマースに力を入れた方が良いという判断になっている。

従来の百貨店のビジネスモデルとして、そごう・西武を再生することは不可能だし、フォートレスもそのつもりはないだろう。

一等地の西武が「ヨドバシカメラ」に変わる?

今回フォートレスが西武・そごうを買収する場合、ヨドバシカメラと連携も視野に入れていると報道されている。

ヨドバシからすると、西武池袋店や西武渋谷店、そごう千葉店などの駅前一等地の店舗に出店できる可能性がある為、メリットを感じているのだろう。

フォートレスは、ヨドバシをキーテナントして、従来の百貨店ビジネスからは徐々に撤退し、現在の各店舗は都市型複合商業施設として運営する方向性に持っていくのではないか。

Next: そごう・西武が保有する不動産にうまみはあるか?セブン&アイの今後

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