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参院選自民大勝利は日本にとって黄金か鉛か?岸田政権「無選挙の3年」に潜む危うさ=山崎和邦

人口減少には打つ手はある

また、人口減少に対する政策も迅速に動かしていく必要があるだろう。

2053年には日本の人口は1億を割り込む。65歳以上の人口が4割に達する。ところが、労働人口が減るということは、一人当たりの生産性を増やすということで、いくらでも補える。これを論理的に説いたものが「人口と日本経済」(吉川洋著、中央公論社、2016年8月刊)であるが、人口を増やす方法はある。移民を嫌う日本にとっては出生率を増やすしかない。

週刊東洋経済誌7月9日号の特集は「人口減サバイバル」である。筆者に言わせれば、この特集には、決定的な方策の話が出てこない。人口減に対する方針、は筆者に言わせれば二つある。

一つは8兆円を使って、出生一人に対して1,000万円を配ることである。3年間で3人出生したら3,000万円与える。予算は8兆円で済む。

二番目の方針は移民である。この移民は別の稿で述べたように、明確なルールを作って、そのルールに対する宣誓をさせた上で、宣誓を破った場合の厳罰を事前に明示した上で、どんどん移民を受け入れる。

違反者は受刑者として単純労働をさせて、幾らかでもGDPに資する。入国者対しては特定の集団をつくらず、日本文化に溶け込むことを条件とする。そして仲間同士で話す時も、日本語を使うようにさせる。文化風俗は日本のそれと調和させる。

このようなことで基本的人権を侵害するという批判もあるかもしれないが、アメリカではそのようにしているようだ。

人口が減少しても一人当たりの生産性を増やせば、GDPは減らない。よって、一人当たりのGDPも減らない。これは考えようによっては縮小均衡の考え方である。人間を株券に例えることで批判はあるだろうが、敢えて言えば、流通株数を減らして1株当たり利益を増やすという、自社株買いの考え方と同様である。問題を含みながらも緊張度を高めて活性化した社会を作るには、移民政策の導入が必要であることを、世論が受け入れなければならないのではないかと思う。

しかし、移民政策は、8兆円を配布して人口増加を図るというよりも、今の日本の世論形成はもっと難しいだろう。低賃金では日本の魅力は薄れる。したがって、移民も不可能になる。ゆえに、持続可能な移民政策を取るためには賃金を上げることも必須条件となる。

移民受け入れは、文化・風土の緊張と価値観の多様性を同時に生み出す

アメリカは出生率が2.0倍よりもずっと低い11.4%%あるから、本来は人口減少国である。ところが、アメリカの人口は少しずつ増えている。移民を毎年入れているからだ。これがアメリカを活性化させる大きな要因になっている。移民を受け入れることで識字率は下がる、人種間の摩擦が生じる、犯罪も増えるかもしれない、等々のマイナス面を意識しながらも、アメリカは常に移民を受け入れている。ここがアメリカの凄みだと言える。

400年前に移民で成立した国であり、それの子孫が今の指導者であるから、基本的な国の成り立ちが違うと言ってしまえばそれまでだが、日本は移民政策を採用しておらず、外国人労働者の入国に永住許可を与えていない。単純労働者を受け入れず、専門的技術分野以外の人材については短期滞在を前提としている。価値観の多様化を容認し、移民を容認することができるかどうかが問題である。

もちろん、下記のような移民制限の条件を付けてもいいことは当然である。

1)特定のコミュニティで生活することは止める。独自社会を作らせない。

2)公共の場では外国人同士でも日本語で話す(ウズベキスタンから毎年200人の国費留学生があり、東大・筑波大学・一橋・早・慶に入学させているが、彼らは仲間同士で話す時も日本語で話す)。

3)勤勉であり、生活等の社会の風俗に従う。

4)最初に日本国憲法のもとに守られていることを知り、市民としての義務を守ることを誓わせる。

5)そして、今まで育った祖国への忠誠を、日本に入国した時に放棄させる。

このようなことは当然、アメリカでもやっている。具体的なことを何も考えずに、移民に無闇に反対するのは合理的ではない。移民を受け入れることによって、文化・風土にある種の緊張をもたらし、人口減少を防ぐことができる。

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<山崎和邦の投機の流儀 vol.527 7/10号>

第1部:当面の市況
(1)当面の市況コメント「週明けは小確りで始まろう」
(2)週末の安倍元首相狙撃事件
(3)週末は、所謂「幻のSQ」で終わった。
(4)日本株の「買い支え役」が入れ替わった。
(5)経済運営に対する自信をなくしたFRB
(6)先週前半の市況は、一部の銘柄に売買が集中して、相場の先行き不透明感を反映した。
(7)今の市場と対峙するスタンス
(8)善かれ悪しかれ、人が投資市場で行ってきたことをつなぎ合わせてみれば、そこに一つの人間像が出来上がる。それが自分なのだ。
(9)東電の「催促相場」=東電の筆頭株主は何をモタモタしているのか?
(10)食品の6割が値上がり
(11)「健全なインフレ」は来ていない。
(12)日経平均では市場の細部は分からない。
(13)当面の市況は、日経平均だけで見ていれば弱含みボックス相場に過ぎないが、個々の銘柄別には「踏み上げ相場」が現出している─「悲観の中で生まれ、疑惑の中で育ち・・・」
(14)大きな潮流に乗らなければ儲けるのは難しいが、ゲリラ資金を稼働させるには個々の銘柄の動きを見ないと判らない。

■ 第2部:中長期の見方
(8)在庫を起動点とする短期循環
(9)「日経平均、業績相場で年末3万円」説
(10)元・FRBの名議長ジャネット・イエレン、現財務長官に退任観測が浮上
(11)ウクライナ侵攻は「殲滅戦」ではなく、「消耗戦」に持ち込みたい米中
(12)アメリカ悲観論は正しくない。中国・ロシアの将来は暗い。
(13)中国の解けない呪縛、習一強に試練の夏、世界の火種に
(14)中国経済停滞に伴う諸影響
(15)「高圧経済と経済政策論議」

■ 第3部:読者との交信蘭
沖縄の読者W様との交信

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  • ★★★ 2022年7月分一覧 週報『投機の流儀』-PDF形式-(7/3)

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山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2022年7月10日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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