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スシロー不祥事3連発で株価半額、長期投資家は「買い」か?プロ経営者の功績と限界=栫井駿介

「数字」重視の経営戦略

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実際に数字重視の経営戦略というのを立てています。

このスライドでは目標数値などが挙げられていますが、もっと詳しく立ち入ると、実際に「その商品の価格設定はどうすべきか?」などということを詳しく語っている講演があります。

その講演の中で、かなり緻密に「100円の皿をベースにいかに高い商品を買ってもらうか」「顧客あたりどれぐらいの価格まで払えるか」など、傾向を読み取っていわゆる数値分析を行うことで業績を上げてきた会社なのです。

その数値分析を行ったうえで「顧客動向にふさわしいキャンペーン戦略を打とう」ということで、なんと!年に20回もキャンペーンを打ってお客を呼び込むということをしているのです。
 

コンサル出身の「プロ経営者」

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スシローの社長の水留浩一氏の経歴を紹介しましょう。

東京大学理学部卒業後電通に入社。元々は天文学をやっていたということですが、それは食っていけないということで電通に入社。その後、コンサルタントに興味を持ってアクセンチュア株式会社。それからローランドベルガーというコンサルティング会社に入社。そして地域経済活性化支援機構の常務取締役になりました。これは要するに日本航空。破綻した日本航空を再生させるために、つい最近お亡くなりになった稲森さんと一緒に日本航空の再生に取り組んだと。その後ワールド、アパレルの取締役専務などを経て、2015年にスシローの代表取締役に就任したという経緯があります。

この経歴から見ても、理系でコンサルタント出身で、数値ゴリゴリでやる人なんだなというところが見てとれます。

一方で講演の内容を見て感じたんですが、非常に自分に自信がある方で、自分が言ったことが正しいんだと、それを押し通す側面は少なからずあったのではないかと感じます。

実際に頭のいい人でしょうから、やってること・言ってることは正しいのでしょう。

しかし、一方で現場の日々動き、変化するものに対する対応が十分だったのかというのは、少し疑わしいところがあります。

 

不祥事が起きる流れ

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不祥事の起きた流れが「どのような流れで起きたんだろうか」ということを考えてみましょう。

まずとにかく数字を大事にする人ですから、当然各店舗などに目標がある。あるいはキャンペーンを年20回、これをあらかじめ決めてやると言っています。

ゆえにもしこのキャンペーンができないということは、許されなかったのではないかと思います。

それで実際(現場では)「当然、やります」というのですが、実際には、仕入れが十分でなかった場合でも「やらないと…」ということになります。

結果、それがおとり広告みたいな不祥事、あるいはビールも足りないという状況になってしまった。というのが、今回の不祥事の裏側にある流れではないかと思います。

これが特に今、外部環境として起こりやすい環境になっています。

例えば物流網にしても、コロナで世界各国で物流が滞る。あるいは、日本海産物は結構ロシアなどに依存しているところがあって、今ロシアと大手を振って取引することが難しくなっています。

ゆえに物が入ってこない。あるいは原材料高で予定した価格で仕入れられないということになって、どんどん現場に無理がたまっているのではないかと想像できるわけです。

今後も、しばらくこのような状況は続くでしょう。

しかも原価も上がってますから、利益も出しづらいということで、かなりスシローが苦しい状況になってくるんじゃないかということが想像できるわけです。

 

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