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レバナス民がドル円乱高下でFXになだれ込み、“投機”の味を忘れられずに人生を破壊していく=鈴木傾城

投機は面白いが、一瞬のミスが一生を破壊する

もっと大金を賭けていれば良かったと思い出すと、次にやるのは実際に「もっと大金を賭ける」こと以外にあり得ない。そうやって、最初は理性を持って恐る恐るやっていた人たちが熱くなってのめり込んでいき、大金を賭けるようになるのだ。

手を伸ばせば届くところに「金持ちになれるかもしれない」というツールがあると、何十年も真面目に生きてきたはずの人が急激に理性を喪失し、ひどく短絡的になって投機で人生を棒に振る。

投機で破綻してしまった人は、別に生まれながらのギャンブラーとして生きていたわけではない。人生の99%は真面目に正しく生きていたはずだ。普通の日常生活を送り、周囲からも信頼できる人という評判を得て頼られていたはずだ。

しかし、今の生活から閉塞感を覚えて、「もう少し使えるお金が欲しい、貯金が欲しい」というささやかな気持ちで何気なく投機に足を踏み入れ、逆に今まで地道に築き上げて貯金をすべて失うことになる。

私自身がそうならなかったのは、投機で失敗して財産を吹き飛ばす人たちを目の前でリアルに見てきたからである。

私が社会に出たらすぐにバブル経済が始まった。まわりの多くの人がバブルに踊って莫大な借金をしながら不動産や株式で投機をする光景と、それが逆回転して一文無しになっていく光景の両方を目撃した。

バブルで億単位の資産を得た人が、バブル崩壊で家も車も事業も何もかも失って失意のどん底に転がり落ちる姿を見て、投機というものがいかに人間の人生を狂わせるものなのかを身に染みて実感した。

だから、私自身は投機から距離を置き、急激に上がっていくものに賭けようとは思わなくなった。

投機は面白いかもしれない。しかし、一瞬の判断ミスが一生を破壊する。不幸なことに、投機は繰り返しやればやるほど掛け金が大きくなり、一瞬の判断ミスを誘発しやすくなるシステムとなっている。

自分が「勝ち残る1人」になれるような錯覚を抱く

投機で勝てる人はゼロではない。99.99%が最後には負けるゼロサムゲームであるとしても、100万人が参加したら100人は勝ち残るのである。どの投機でも死屍累々の中で大儲けする人が少数は存在する。

投機をしていると、自分が「勝ち残る1人」になれるような錯覚を抱く。実際、そうなることも0.01%くらいの確率であるのかもしれないが、そこに全財産どころか借金した資金まで投じるのは無謀もいいところだ。

しかし、熱くなっていると理性が働かない。そして、投機を継続することで、最後に自分の資産を吹っ飛ばし、自分の人生をも破壊することになってしまう。

こうした理屈は冷静に考えれば分かることなのだが、それでも投機に入り込んでしまう人が多いのは、「自分も一攫千金を成し遂げられるかもしれない」という夢があまりにも強烈なものだからだろう。

Next: これから私たちが目撃するのは、為替相場でどん底に転落する人たち

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