いわゆる「ファスト映画」を動画サイトに無断投稿していた男女2人に、東京地裁が5億円の賠償を命じたと報じられたことが大きな反響を呼んでいる。
判決によると、2人は映画「シン・ゴジラ」や「おくりびと」など54作品を無断で編集し、YouTubeに投稿。動画は計1,000万回以上再生され、700万円程度の広告収益を得ていたという。
原告側の東宝や松竹、東映などの大手映画会社やテレビ局など13社は、被害総額を約20億円と算出し、その一部の計5億円の支払いを求めていたが、その請求通り全額の支払いを命ずる判決となったようだ。
SNS上からは「人生詰んだ」との声
映画会社などによる“予告編”とは異なり、10分程度の長さのなかで作品のあらすじからオチまで、いわゆるネタバレしてしまうというファスト映画。
本当の映画好きからすれば信じられないといったところだが、最近では映画をじっくりと鑑賞するということがまどろっこしく、短時間でお手軽に映画の内容を知りたいといった向きが結構増えているとのことで、そのことは今回訴えられた2人の動画が計1000万回以上の再生をされていることからも、大いに窺えるところである。
もちろん業界側としては機会損失そのものということで看過できる状況ではなく、すでに執行猶予付きの有罪判決が確定している刑事だけではなく、このように民事でも裁判沙汰になったわけだが、投稿者に賠償が命じられたのは今回が初めてのケースだということ。
それだけに賠償額がいかほどになるかにも注目が集まっていたが、結果的には男女2人に計5億円の請求という判決。逮捕時の投稿者たちのプロフィールを見てみると、いずれも無職やフリーターだったようで、そんな彼らに1人あたり2.5億円という途方もなく高額な請求に、SNS上からは「人生詰んだ」といった声が溢れる格好に。
ファスト映画投稿してた2人への賠償額、合わせて5億円……人生詰んだな。
— 姫矢咲楽@デモニホブートキャンプ! (@himeya915) November 17, 2022
「ファスト映画」公開の2人に総額5億円の賠償命じる 東京地裁 | NHK | エンタメ https://t.co/3Cb4YCA7vV
見せしめかな?
判決では破産も出来ないんじゃないかな
人生終了ですか
— jiji (@jiji25849716) November 17, 2022
しかし、商業音楽のCD音源をmp3まるごと上げたりするのはネット黎明期から今のYoutubeにいたるまで放置されてるのに、ファスト映画で700万稼いだら5億の賠償くると思ってなかったんだろうな彼ら。著作権法というか、告訴する権利者しだいなのかなあ。。今後の人生いったいどうするのだろう。 https://t.co/gELKfL9a7D
— CDB@初書籍発売中! (@C4Dbeginner) November 17, 2022
この手の損害賠償は、いくら払えきれないと自己破産したところで免責されることはないようで、しかも刑事裁判で有罪となっていることから、今後真っ当に就職することも難しく、まさに“詰んだ”状況なのは間違いのないところ。
いっぽうで原告側としては、最初の判例になるということで“見せしめ”あるいは今後の“抑止力”となるような判決を求めていたフシもあったようだが、そういった意味ではインパクト大な上々の結果となった格好だ。
広がる“他人のふんどし”で儲ける人々への嫌悪
一部の向きからは人気だったというファスト映画だが、その類を放置してしまうと、映画会社などが本来得られるべき利益が目減りしてしまい、それによって優良な創作物も減る可能性が大ということで、結局は観る側の不利益にも繋がることに。
そういった道理で、“人生詰んだ”ファスト映画投稿者に対しても容赦ない声があがっているところだが、それ以上に傾向として見られるのが“他人のふんどしで相撲を取る”連中があまりにも横行している今の状況への憂いだ。
そういった人間の最たる例として、度々俎上にあがるのがいわゆる“転売ヤー”といった連中だが、今回のファスト映画と同様に創作物の剽窃ということで思い浮かぶのが、2018年に閉鎖した海賊版の漫画ビューアサイト「漫画村」だ。
最盛期には月間利用者数が約1億人に迫るなど、日本でも有数のサイトとなった漫画村だったが、そのこともあって当局に目を付けられてしまい、元運営者は著作権法違反などの疑いで逮捕。その後の刑事裁判で、執行猶予無しの懲役3年、罰金1,000万円、追徴金約6,200万円の判決が言い渡されたのだが、その人物が先日出所。
さっそくSNS上での発信を始めているようなのだが、その内容が「まったく反省していない」と批判殺到。さらに、そういった批判に対し「俺が稼いでそうで羨ましいとか?」と煽るような発言もし、さらに炎上しているというのだ。
漫画村でお馴染みのアフィカス王星野ロミ氏が出所。なお全く反省してない模様。
※被害総額3200億円 pic.twitter.com/SV1cyImgGr— アフィカス情報局 (@daikishokisho) November 17, 2022
漫画村が
漫画家に嫌わるのは分かるけど
漫画家でもない上、自分の不利益が全く無いのに漫画村を嫌う人の心理が分からない💦俺が稼いでそうで羨ましいとか?— 星野ロミ/漫画村@全力で復活中 (@romi_hoshino) November 14, 2022
行き過ぎた“金儲け至上主義”が幅を利かすと同時に目につくようになった感もある、この手の他人のふんどしで相撲を取る連中だが、こういった手合いに対しての不満や怒りが世間でかなり鬱積しているのも事実。多額の賠償金請求により人生が“実質上終了”となった今回の被告に対して、同情の声がほとんど見られないのも、その証左といえそうだ。
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