fbpx

始まったコロナ第8波、どんな変異株が拡散している?WHOが特定した10種と脅威度=高島康司

複数の変異株が主流となる第8波

ところで、いま始まりつつある第8波で注意しなければならないことは、今回の流行は複数の変異株が主導する可能性が高いということだ。

第7波を主導したのは、「オミクロン」の「BA.1」と「BA.5」が主流だったが、第8波では流行を主導する変異株はこれよりも種類が多くなり、それぞれが感染力や毒性が異なっているという点に特徴があるようだ。

いま出現しつつある新しい変異株は、ヒト宿主の様々な受容体とのの結合を強化するだけでなく、現在使われている中和抗体や抗ウイルス剤の効果を低める方向に変異しているようだ。これらの変異株は、アフリカ、インド、イギリス、アメリカ、シンガポール、台湾などで発生した亜種の遺伝的特徴を受け継いでいるとされる。

しかし出現した変異株すべてが、2021年11月に南アフリカで確認されたオリジナルのオミクロン株とのつながりを持つ。血漿、ワクチン、モノクローナル治療薬、感染後に強化される自然免疫など、ウイルス撲滅のための治療が、新型コロナウイルスの速い進化に寄与している可能性を指摘する意見もある。抗ウイルス剤や特定の薬剤の使用も、ウイルスの突然変異や薬剤耐性に対応するための変化をもたらす要因となっている可能性もある。

「WHO」の新型コロナウイルスの責任者であるマリア・ヴァン・ケルコフは、「WHO」が大きな脅威となりうる200以上のオミクロン変異株や亜種を監視していると述べ、同時に、多くの国が正常な状態に戻ろうとしている結果、検査やゲノム解読が大幅に減少していることを認めている。その結果、いまは科学者が闇のなかで手探りで何が起こっているのかを把握しようとしている状況になっているという。

しかしそのような状況でも、いますでにパンデミックで主流になっているか、またはこれから主流になる可能性のある変異株は10種類ほど特定されている。

10種類の変異株

それら特定された10種は以下だ。すでに日本で拡散しているものもある。

(1)「BA.2.75.2」
この新型は、免疫回避性が高いだけでなく、「ベブテロビマブ」を含む既存のモノクローナル治療薬のいずれにも効果がないことが、すでに研究によって示されている。「BA.2.75.2」亜系は、「BA.5」が誘導した免疫から部分的に逃れることができることも研究により明らかにされている。

現時点では、英国で発見された変異株の約0.5%を占めるに過ぎないが、急速に増加しており、これまでのところ、同国の疾病の重症化と入院の原因になっているのではないかとも言われている。

いまこの変異株は世界的に急速に広がっており、再感染が予想される。既存のワクチン接種をした人たちも、どの程度この変異株から守られるかいまのところはっきりしていない。また、予備的な調査のデータでは、神経病原性が高いだけでなく、肺細胞や消化管の症状も確認されている。

(2)「BQ.1.1」
「BQ.1.1」は「BA.5」亜系に由来するが、スパイクタンパク質にいくつかの変異(R346T、K444T、N460K)が追加されており、免疫逃避の可能性はがある。抗ウイルス薬の「エバスヘルド」も「ベブテロビマブ」もこの亜型にはどれほどの効果があるのか分かっていない。冬の流行を主導する中心的な変異株になると予想されている。

また「BQ.1.1」に感染すると、より重症化するだけでなく、感染した場合の発病性が高いことが予想されている。すでに「BQ.1.1」は、「BA.2.75.2」と同様、イギリスやヨーロッパの他の地域で、すでに感染症による入院や死亡の増加の原因となっているようだ。

(3)「XBB」
「XBB」は「BM1.1.1」と「BJ.1」という2つの変異株が組合わさったタイプだ。すでにシンガポール、日本、さらにはオーストラリアなどで増加していることが確認されており、病気の重症化や入院の原因となっている可能性がある。また、「XBB」系統が最も免疫逃避能力が高いことが示唆されている。

(4)「BA.5.6.2.1」(BW.1)
スパイタンパクの「444T」と「460K」に変異を持つ変異株だ。アフリカ、中東、ヨーロッパの一部で流行は確認されている。また、スパイクタンパクの「NSP13_A389V」と「NSP2_V447I」にも変異があり、これが感染した場合の発病率を高くしている可能性がある。

(5)「BU.1」系統
「BU.1」系統は、スパイクタンパクの「S:444M」と「S460K」に変異を持つ。このため、病原性は高いとされている。病原性とは、細菌やウイルスなどの病原体が、他の生物に感染して宿主に感染症を起こす性質・能力のことだ。コロナウイルスに感染しても発病しないことがあるが、病原性が高い場合、発病率は高くなる。

Next: すべてオミクロンの亜種、「第8波」でやるべき対策は?

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー