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始まったコロナ第8波、どんな変異株が拡散している?WHOが特定した10種と脅威度=高島康司

(6)「BJ.1」
「BA.2.10.1.1」 としても知られていいる。13のスパイクタンパクに変異がある。感染率の強さや毒性の強化は未確認。「BJ.1」系統、「BA.2.3.20」系統が、各地で主流となっている系統に比較して、感染者数増加の優位性を見せている。一方で、これらの系統の割合の上昇傾向は地域によって異なっており、オミクロンの中で特定の亜系統が世界的に優位となる傾向は見られない。

(7)「BR.2」
「BA.2.75.4.2」とも呼ばれている。スパイクタンパクの「S:346Tと「S:486i」に変異がある。ニューサウスウェールズ州をはじめ、オーストラリア各地で数字が上がってきている。

(8)「BM.1.1.1」
「BA.2.75.3.1.1.1」とも呼ばれている。「BM.1.1.1」は、さらにスパイクタンパクの「S:490S」に変異がある。その免疫回避力は「BA.2.75」系統よりさらに強いと推測されている。

(9)「CA.1」
「BA.2.75.2.1」とも呼ばれている。これは「BA.2.75.2」亜系から生まれた、スパイクタンパクの「T604I」と「L452R」と、「E_T11A」に新しい奇妙な変異を有している。

(10)「BN.1」
「BA2.75.5.1」とも呼ばれる。スパイクタンパクの「S:K356T」、「S:R346T」、「S:490S」に変異がある。

これらが日本では「第8波」と呼ばれ、いま世界でも拡散している変異株だ。今回の蔓延の波は、このような複数の変異株が主導する可能性が高い。

これまでの治療法が効かない可能性

これらの変異株はすべてオミクロンの亜種である。オミクロンの亜種は急速に進化しており、より強力な特徴を持つ新しい変異株が多数出現している。このためこの冬に被害を拡大させる可能性のある変異株の種類はもっと増え、ダイナミックに変化すると予想されている。

「北京大学バイオメディカル・パイオニア・イノベーション・センター(BIOPIC)」の研究者らは、すべての新しい変異株は前例のないスピードで変異しており、以前の感染による自然免疫とワクチンによる免疫の両方を回避するだけでなく、さまざまな抗ウイルス治療薬も回避することができると警告している。

「レムデシビル」「パックスロビド」「モルヌピラビル」といった代表的な抗ウイルス薬がいま使われているが、これらの治療薬がこれらの新しい変異株に対してどの程度の効果があるのかはっきりとは分かっていない。かなり効き目が弱まる可能性が指摘されている。

そして、現在の「BA.5」など既存のオミクロンの変異株に感染した経験があり、免疫がある人も、これらの新しい変異株に再感染する可能性がある。

ただ、これらの変異株の感染力が強化され、また感染した際の発病率である病原性が高いことが確認されているが、毒性が強くなっているのかどうかは定かではない。

だが、既存の抗ウイルス治療薬の効果を減じる高い免疫回避能力があるようだ。

Next: 警戒を緩めるのはまだまだ先。春頃には「第9波」到来の可能性も

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