<理由②成長が早すぎ、成熟する暇がなかった>
経営をするためには、やはり辛いこととか、いろいろ乗り越えなければならないこと。
あるいはコンプライアンス的なものを、積み上げていかなければならない。
それは通常、若い企業だったらやはり、どうしてもそういう問題が起きがちです。
時間をかけていろんな失敗を経て、少しずつ少しずつ、成長と成熟を同時に踏んでいくものです。
しかしFacebookに関しては成長が早すぎて、成熟する暇がなかったのではないか?という見方です。
先ほど業績のグラフを見ていただいたかと思います。
もうめちゃくちゃな急速度で成長しています。
これはすべてがFacebookの努力によるものかというと、そうでもないところもあると思っています。
要は「みんなFacebookを使ってるから、自分もFacebook使わざるを得ない」というネットワーク効果が働いていたと思うのです。
しかもそうやってSNSが急速にスマートフォンの普及によって(まさにスマートフォンの普及と時期を一致してるんですが)みんなが使い始めたことによって、Facebookしか選択肢がなかったのです。
その結果これほど伸びてきた。
ある意味で実力以上に一気に伸びてきた。
そういう側面がある企業だと思っています。
そしてあまりに早すぎたせいで、成熟する暇がなかった。
ザッカーバーグ氏自身もまだまだ若いですし、そこで働いてる人たちというのも一枚岩になる前に人がどんどん入ってきたという状況があると思います。
この「ビジョンと成熟」というところは、いろんな企業があるんですが、例えばGoogleは、ちゃんとはっきりとしたビジョンを掲げていまして、それは「世界中の情報を整理する」
それは、Facebookの人々が繋がるというテーマに比べたらかなり壮大です。
情報と言ったら、もうあらゆるものですから。
Googleはそのビジョンに従って、まず検索から入ってメールとか、YouTubeもそうです。
それから地図はGoogleマップを整備しましたから、それを使って自動運転などもやる。
どんどんそうやって拡大していく。
その中でポリシーとしてあるのは「Don`t be evil(邪悪になるな)」。
「悪いことしなくても利益は上がるから悪いことするな」ということを徹底しているのがGoogleなのです。
私が聞いた知り合いの話では、「Googleで他の人の使ってるメールとか見れたりするんじゃないの?」と僕の知り合いが、Googleに勤めている人に聞いたらしいのです。
ところが、社員の方を返答は「いやいや、Googleは絶対にそんなことはしないから無理だよ」というそういう返答だったのです。
そうはっきり言えるほど、しっかり整っているところがある。
しかしFacebookは、まだそうなっていなかったのではないか。
あるいはAmazonにしてもそうです。
アマゾンは「世界一の小売り企業になる」というビジョンを掲げてやっていました。
それは未だに愚直に「じゃあインターネットの世界でそれをやるにはどうしたらいいか」「とにかく物流をやらないといけない」とか。
人々に買ってもらうために、購入意欲を促さないといけないと、リコメンドを出したりとか、とにかくそれらを次から次にやっていく。
まさに先ほどのハリネズミの概念です。
自分が世界一に情熱を持って、かつ利益を出しながら世界一になれる分野をとことん追求していく。
このやり方によって、GAFAは大きくなってきたわけです。
ところがFacebookは、出会い頭の事故的なところがあって、Facebookというサービスが立ち上がったところに時代が一気に来た。
そんなところがあるのではないかと思います。
<理由③ザッカーバーグ氏への依存>
あとはザッカーバーグ氏、もう本当に先ほど言いました大天才。
しかし天才であるがゆえに、集団指導体制みたいになれたら良かったのかもしれないのですが、そうはなれなかった。
いまだにこのザッカーバーグ氏に依存している。
しかもこれだけの巨大なった企業を1人で動かすのは大変ですから、結果やることとしては、大きなことをぶち上げるしかなくなってしまったのではないか。
それが結果的には、先ほどの衰退の第4段階(一発逆転の追及)に繋がってしまっているのではないかと思うのです。