大王製紙の元会長で、現在は実業家として活動しているという井川意高氏が、サッカーW杯での日本代表やサポーターたちの“クリーン活動”に対して「ただの自己満足」などとツイートしたことが、大いに物議を醸しているようだ。
こういうの
気持ち悪いから
やめて欲しいただの自己満足
掃除人の仕事を
奪ってる https://t.co/Jtyfja4y2t— 井川 意高 本アカ (@mototaka728) November 24, 2022
これもな
他人の
職を奪うな https://t.co/ALxMmFvGjA— 井川 意高 本アカ (@mototaka728) November 24, 2022
井川氏が噛みついたのは、サッカー日本代表がドイツ戦後のロッカールームをキレイに清掃して立ち去った件と、試合後に日本サポーターが観客席のゴミを拾ったという件。その様子を伝えたツイートは世界中に拡散され、日本国内のみならずCNNや朝鮮日報などの海外メディアも好意的に取り上げていたようである。
そんな行為に対して井川氏は、先述の「ただの自己満足」発言以外にも「掃除人の仕事を奪ってる」ともコメント。世界中で称された日本代表やサポーターの善行を腐したということで、SNS上では井川氏に批判的なコメントが溢れているといった状況だ。
バカラにハマって巨額使い込み…井川氏の近況は?
井川意高氏といえば大王製紙創業家の3代目として、2007年に42歳で大王製紙の第6代社長に就任。2011年には会長に転じたものの、以前からカジノでのバカラ賭博にハマっていたようで、程なく100億円以上という巨額な会社の金を使い込んでいたことが判明。マスコミもこのことをしきりに取り上げるなど大騒ぎとなった。
その後、会社法違反(特別背任)の容疑で逮捕され、裁判では執行猶予なしの懲役4年の判決が。井川家が大王製紙の経営陣から排除されてしまったこともあり、使い込みの弁済もあるなかで出所後はさぞ厳しい生活に……といった見方もあったのだが、実は保有していた製紙業界の株式を処分したところ、その売却益がなんと540億円にものぼった模様。
今はその利益で悠々自適といった状況のようで、最近のインタビューでは、自ら“高等遊民”を気取っているとの発言もあったようだ。
そんな井川氏による“自己満足でしかないゴミ拾いで、掃除人の仕事を奪ってる”といった指摘。さすが、出所後も懲りずにカジノへ行っていた時期があったという、生粋のギャンブラー気質なだけあって、ここはいわゆる“逆張り”か……といった見方も浮上するなか、奇しくも同じタイミングで元東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏も「身分制社会などでは、分業が徹底しており、観客が掃除まですると、清掃を業にしている人が失業してしまう」と、同様の指摘を行っている。
日本のサポーターがスタジアムの清掃をして帰るのを世界が評価しているという報道もあるが、一面的だ。身分制社会などでは、分業が徹底しており、観客が掃除まですると、清掃を業にしている人が失業してしまう。文化や社会構成の違いから来る価値観の相違にも注意したい。日本文明だけが世界ではない。
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) November 24, 2022
しかしながら、選手が使ったロッカールームはともかく、観客席に関してはどうやら大会ボランティアが清掃の任を担っているようで、23日に行われたドイツ戦の試合後には、ボランティアスタッフがゴミ拾い活動を行った日本人ファンをスタンドに集め、直接メッセージを届けるといった一幕もあったようだ。
このように現地からは感謝こそすれ、仕事を奪っているといった状況は少なくとも今のところは聞えて来ず、井川氏や舛添氏が主張する“仕事を奪ってる”論は、少々苦しい感じになっているというのが実際のところのようだ。
井川氏の怒りの矛先は“ネトウヨ”へ
いっぽう、今回の件に関して井川氏は「ゴミ拾いを褒められて有頂天になる日本人が悲しい」「ゴミ拾いしたことを褒めてもらって喜ぶくらいしか日本人の自尊心を満たせることがないくらい誇れるもののない貧しい国になったということだ」といった発言も。その矛先はクリーン活動に勤しむ日本代表やサポーターから、それらの行為が“日本人の美徳”だと世界中で称賛されていることに、やたら誇らしげな日本人にも向かっているようである。
まあ
端的にいって
サッカー場の
ゴミ拾いしたことを
褒めてもらって
喜ぶくらいしか日本人の自尊心を
満たせることが
ないくらい
誇れるもののない
貧しい国に
なったということだ赤ちゃんが泣いたら
文句つけるような国民の
美徳?笑わせるな
— 井川 意高 本アカ (@mototaka728) November 24, 2022
なんども
繰り返すがサッカー場の
ゴミ拾いを
褒められて
有頂天になる
日本人が
悲しいそんな
ちっぽけな
自尊心が
満たされて
うれしいか?オレには
世界からの誉め殺し
としか
思えない「よしよし
日本人て偉いでちゅね!
よく出来まちゅたね〜
花マル
三っちゅ
あげまちゅからね〜」— 井川 意高 本アカ (@mototaka728) November 24, 2022
生前の安倍元首相とはLINEでのやりとりなど長らく交流があったことを、例の銃撃事件の後に明かしたこともあった井川氏。思想的には自他ともに認める“右寄り”といったところだが、その反面で“ネトウヨ”と呼ばれる層は毛嫌いしていたようで、過去にはそういった手合いを煽るようなツイートも。それゆえに井川氏としては今回も、日本代表やサポーター以上に、いわゆるこの手の話題に“ホルホル”している連中への怒りや侮蔑の感情のほうが強いといった印象だ。
オレは
教養があって
酒が強くて
イケメンで
オンナにモテる
右翼だよネトウヨは
教養がなくて
酒が弱くて
ブサメンで
オンナにモテない
右翼のことだよ〜ちゃんと
勉強してから
発言してね〜 https://t.co/2x6pJBYLUg— 井川 意高 本アカ (@mototaka728) November 19, 2022
近年では急激な円安などにより、今や世界から買い叩かれる“安い国”となり、さらには国民の所得はウン十年間ほとんど上がらないという、井川氏が言うところの“貧しい国”に成り下がってしまった感も否めない日本。
そんな日本人がすっかり自信喪失してしまっているなかでのドイツ戦での“大金星”、さらにはクリーン活動への世界中からの称賛ということで、久方ぶりに誇らしげな気分になるのは、まぁ当然の流れといったところだが、冷静に考えれば今の日本ってそれしかないのかも……と、確かに考えてしまうところ。
そういった意味では正鵠を射ている感もある井川氏の発言なのだが、だからこそ逆に今の浮かれ気味の日本の状況下においては、相当“耳障りの悪い”意見であるのも事実。それゆえに、井川氏による一連の発言への反感の声は高まるばかりといった状況だ。
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