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「ゼロコロナ反対」若年層のデモは習近平に効果ばつぐん、追い詰められて“台湾侵攻”決行へ=勝又壽良

見栄と面子が充満する

中国社会は、見栄と面子(メンツ)の社会である。人生の2大イベントは結婚式と葬式だ。今でも、いかに派手に行うかに関心を持っている。結婚式では、わざわざ大衆の前で結婚写真を撮って幸福感を演出する。葬式では、故人がどれだけ人望があったかを示すため、「泣き屋」を雇って演技させる。

こういう中国社会の仕来りを見れば、習氏が「ゼロコロナ対策」は間違っていたなどと言って、政策を変えるはずがない。それこそ、習氏のメンツは丸潰れとなる。しかも、中国政治は独裁制で1人のリーダーが全権を掌握している。こうなると、中国の政策は想像以上に硬直的と言える。一度、間違った道へ入り込めば引き返しのできない一本道を歩むほかないのだ。

中国は、これまで200~300年に1度のペースで「易姓革命」が起こってきた。革命と言っても欧米のそれと異なる。過去との完全な断絶が起こるのでなく、ただ皇帝が変わるだけである。

つまり、「易姓」(王政交代)で苗字が変わるだけで本質は変わらない「革命」を2400年も続けてきたのである。中国共産党政権もその一環だ。いずれ共産党政権が行き詰まれば、次の「皇帝」が登場しよう。社会の本質に変化はないのだ。イノベーションとは無関係の社会である。

「大学を出ても仕事がない」若者たちはもう限界に来ている

今回の若者によるデモの背景は、長期のロックダウンによって自由を奪われていることへの不満表明である。そのほか、ロックダウンによる経済活動の停滞が、若者から雇用を奪っているという切実な問題がある。中国共産党は、この問題に対して何ら応えていないのだ。

中国都市部の若者(16~24歳)の失業率は今年7月(卒業後)に20%へ接近し、過去最高になった。昨年7月は16.0%、一昨年7月は16.2%の失業率である。

中国では来夏、過去最多となる1,158万人余りの学生が大学を卒業する。若者の理想的な雇用先は、第三次産業である。だが、習氏は「共同富裕論」にかこつけて、インターネットや教育、サービス業を中心に第三次産業発展の灯を消してしまった。こうなると、来年7月の失業率は20%を超えてどこまで高まるか分からない状態である。「大学を出ても仕事がない」という緊急事態が待っているのだ。

第三次産業を「不要」と言う習近平政権

習氏は、第三次産業は「不要」という考えである。

その証拠に、毛沢東の始めた「国営商店」を全土に拡充発展させるという時代錯誤的な動きを強めている。台湾侵攻の際に受ける経済制裁を想定して、「国営商店」を広めているとの見方が出ている。

だが、食糧自給率(エネルギーベース)は70%台前半まで下落している。この足りない部分は、制裁でカットされかねない。国営商店をつくっても自給率は上がらないのだ。こういう、辻褄の合わないことを始めているのである。

中国政府は、22年のGDP成長率目標として5.5%前後を掲げた。現実の成長率は、3%を割るというのが大方の見方である。この目標と現実との差は、すべてゼロコロナ政策の結果とは言えないまでも、過半は習氏が自慢して止まない「ゼロコロナ」の帰結であろう。

Next: このまま中国経済は沈んでいくのか?IMFが警戒する「台湾侵攻」

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