2023年に入ってから、日本でもそうだが、アメリカでも「これから不況になる」との観測が非常に多くなっている。どの程度の不況になるのか見るために、アメリカの住宅産業の状況を見ている。落ち込みは思った以上に大きい。リーマン・ショックの再来はあるのだろうか?(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2023年1月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
増える不況予測
それでは今回最初のテーマを書く。2023年の不況の可能性とその程度についてだ。
2023年に入ってから、日本でもそうだが、アメリカでも「これから不況になる」との観測が非常に多くなっている。アメリカの主要メディアに掲載された国際機関や著名なエコノミストの観測を見ると、やはり不況入りは避けられないと思われる。そうした観測の一部を以下に列挙してみた。
<ゲオルギエヴァIMF総裁の1月2日の発言>
「世界経済の3分の1がリセッションに入ると予想される。不況でない国でも、数億人の人々にとっては不況と感じるだろう」
<「2023年に米国が景気後退する確立は70%とエコノミストが予測」(12月20日のブルームバーグ記事)>
「エコノミストは、米経済が来年不況に陥る可能性は10分の7であるとし、連邦準備制度理事会による大幅な利上げを受け、需要予測を削減し、インフレ予測を切り下げた」
<「2023年の世界不況のリスク」(9月15日の世界銀行のレポート)>
「世界銀行による包括的な新しい研究によると、世界中の中央銀行がインフレに対応して同時に金利を引き上げる中、世界は2023年の世界的な景気後退と新興市場や発展途上国の経済に永続的な損害を与える金融危機の連鎖に向かっている可能性がある」
<モハメド・エル・エリアン(大手投資会社「PIMCO」の元CEO、12月7日のFOXニュースより)>
「多くの “確信犯的”な米国の景気後退の呼びかけは、すぐに “短くて浅い”という主張と結びつけられる。昨年、「一過性のインフレ」推進派が陥った行動の罠を思い出させる」(要するに今回の不況は深刻だということ)
<ヌリエル・ルービニニューヨーク大学教授(経済紙「ベンジンガ」の1月2日の記事より)>
「いや、これは短くて浅い不況ではなく、深くて長引く不況になるだろう」
<ラリー・サマーズ 元FRB議長(1月2日の「ベンジンガ」記事より)>
「私の感覚では、ソフトランディングを達成するのは、多くの人が考えているよりもずっと難しい」
<ゴールドマン・サックスCEOのデビッド・ソロモン(12月8日の「ロイター」記事より)>
「経済成長は鈍化している。我々の顧客と話をすると、彼らは極めて慎重なようだ」
<チャールズ・シュワブ・アンド・カンパニーのリズ・アン・ソンダーズCEO(12月8日の「ブルームバーグ」記事より)>
「我々はまだ薬を飲まなければならない、つまり経済の弱さと労働市場の弱さを意味する。問題は、早く薬を飲む方がいいのか、遅くてもいいのか、ということだ」
<大手投資会社「ブラックロック」のエコノミスト(1月3日の「ヤフーファイナンス」記事より)>
「この新体制では、投資家の期待に反して、成長が鈍化しても中央銀行が救援に乗り出すことはないだろう。彼らは、インフレを抑制するために政策を過度に強化することで、意図的に不況を引き起こしているのだ」
<マイケル・バーリー(2008年のリーマン・ショックを予言して的中させた伝説的な投資家の1月2日のツイート)>
「インフレはピークに達した。しかし、それはこのサイクルの最後のピークではない。CPIは低下し、2023年後半にはマイナスになる可能性があり、アメリカはどのような定義でも不況に陥る可能性がある。FRBは金利を引き下げ、政府は景気刺激策を講じるだろう。そして、またインフレが加速する。難しいことではありません」
このように、2023年に不況がやってくることについては概ねコンセンサスが得られている。だが、来る景気後退がどの程度の深さになるのかについては意見が分かれている。