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若者に数百万もの借金を負わせて社会へ放り出す大学の無責任。学生はあこぎな大人たちの食い物にされている=鈴木傾城

これから日本を担う若年層に大人は何をしているのか?

若者たちは「大学に入って貸与奨学金という名の借金を抱えて社会に出る」か、それとも「大学卒業の肩書きはないが借金もない状態で社会に出るか」の二者択一を迫られている。

現代は学歴社会なので100人中100人が「大学は出たほうがいい」という結論を学生に説く。「学歴はないよりあった方がマシ」というわけだ。

しかし、莫大な借金を背負ってどこかの大学卒業の学歴を得たら一流の企業に終身雇用で就職できるという保障なんかとっくに消えている。すでに大卒の学歴は陳腐化しており、ブランド大学以外の学歴を持っていても役に立たないことが多いからだ。

つまり、そこらの大学を出ても何ら見返りがない。下手したら貸与奨学金の返済があるのに非正規雇用に落ちて、首が回らないような状況に追いやられる。

そもそも、20代前半の若者が数百万にのぼる莫大な借金を抱えて社会に出るということが許容されていることがおかしいのだ。

これから日本を担う若年層に、大人たちはこんな不条理に放り込んだままでいいのだろうか。

学生たちは400万円近い借金を抱えて社会に放り出される

大学の7割以上は私立大学なのだが、私立は私立であるがゆえに学費が高い。どれくらいかかるのか。

文科系学部の学費はだいたい385万円くらい、理科系学部の学費はだいたい520万円くらいかかる。これに、親元から離れて暮らすとなるとアパート代、通学費、生活費もかかってくる。

生活費等は親が何とか負担するとしても、学生は場合によって4年間で400万円近い借金を抱える可能性がある。

10年で返済するとしても1年で40万円、つまり月約3万3400円近い金額を延々と返さなければならない。

滞納するとブラックリストに載ってしまう

年功序列、終身雇用の時代であればまだ何とかなったのかもしれないが、もうすでに世の中は変わってしまっている。普通の企業からは年功序列も終身雇用も消えていこうとしており、残る企業があったとしてもそんな安定した職業に就けるのはごく一部の人間だけである。

最近は、安泰と思われた企業でも経営者が判断を間違えて迷走すると、企業は急激に凋落してリストラの嵐と化す。いったんリストラされたら、次の就職先での待遇や賃金は普通は低下してしまう。

そうなれば貸与奨学金の返済はどんどんキツく厳しいものになる。

滞納すれば、どうなるのか。奨学金を出している日本学生支援機構(JASSO)は全国銀行個人信用情報センターに加盟しているので、基本的に3ヶ月以上滞納すれば個人信用情報に滞納情報が記録される。それがブラックリストになる。

ブラックリストに載ればどうなるのか。今後、クレジットカードが組めず、新たなキャッシングもできず、住宅ローンも組めなくなる。さらに滞納した分は年10%の延滞金まで取られる。

JASSOの2015年のデータでは、3ヶ月未満の遅延が発生している人は32万7,512人、3ヶ月以上の遅延となっている人は16万4,635人となっている。

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