今年も賢人が一堂に会する世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されました。ただこの通称「ダボス会議」、本当に世界の役に立つ会議になっているのか?ということを考えますと、かなりクビを傾げたくなる状況が示現しはじめています。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2023年1月22日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
世界の賢人が集まる「ダボス会議」が開催されたが…
今年も世界経済フォーラム(WEF)年次総会(通称「ダボス会議」)がスイスのリゾート地ダボスで開催されました。
ダボス会議が知名度を高め、出席すること自体が大きなプレステイジとなったのは2000年代以降の話。しかしながら実は、この会議はすでに50回の開催実績を持つ、かなり歴史のあるものであることがわかります。
パートナー企業はWEFが選択した世界の大企業100社で、そのほかにメンバー企業約1,200社が名を連ねています。会員企業のCEOクラスが看過する年次総会ですが、最近では主要国各国の代表者や著名人・ジャーナリスト・宗教指導者・活動家なども招待されるようになっており、さながら国を超えた世界の賢人会議の年次総会という雰囲気を醸し出しています。
ただこのダボス会議、本当に世界の役に立つ会議になっているのか?ということを考えますと、かなりクビを傾げたくなる状況が示現しはじめています。
今年の世界最大のテーマは「どう戦争を終結させるか」ではないのか?
今年の総会では「SDG’s」や「ESG」もさることながら、世界最大の問題は昨年2022年2月からロシアのウクライナへの侵攻がいきなりはじまって本格的な戦争に突入し、今もそれが継続中である「ウクライナ戦争をどう停止・終結させるか?」という問題が最大のテーマとなるべきでしょう。
しかしながら、下手をすれば第3次世界大戦に直結しかねないこの戦争を全力で止めにかかるという雰囲気ではないことに、非常に違和感を感じるところとなっています。
開会時にはウクライナのゼレンスキー大統領が映像で登場し、欧米からの軍事支援について「防空システムや戦車の供給は、ロシア軍の攻撃を上回るものでなくてはいけない」と述べ、欧米各国が供与を表明している戦車や装甲車などについて、さらなる支援を求めています。
これを受けてドイツが迅速に戦車をウクライナに提供すべきといった、戦争をさらにエスカレートさせかねないような議論も飛び出しました。
このことからも早期終戦に向けて世界が力を合わせて向き合っていくといった雰囲気は、完全に消え去っていることがわかります。
まあ、この会議は以前から米国を中心とした軍産複合体の年次総会に過ぎないといった揶揄が飛び交ってきたのは事実です。
とはいえ、いざ世界的な戦争危機の真っ最中でもそれを止める動きにならないところを見ますと、まんざら間違いでもなさそうな雰囲気が高まります。