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若者を闇バイトに堕としたのは誰か?「裏がある」と知りつつ応募してしまう心理=鈴木傾城

高額バイトの存在が知れ渡ってしまった…

また、若者の中には、ヤバそうであればあるほど、逆に「面白いかも」と考える傾向を持つタイプもいる。アクション映画やら犯罪映画などは悪のヒーローがそういう仕事をやって、颯爽と金を稼いでいるではないか。

スリルある体験をしながら金を稼いで映画やドラマみたいに格好良く生きたいというのは若者らしい「空想」だ。闇バイトは「恐らく違法行為だろう」と応募する若者も知っているのである。知っていて、あえて飛び込むのだ。

リスクも面白いかもしれないと思うタイプは、そうやって闇バイトに潜り込んでいく。しかし、映画と現実はまったく違っており、すぐに後悔することになる。

実際に闇バイトに応募すると、依頼先に自分の個人情報を最初にすべて開示させられて、家族構成や両親の住所までも相手につかまれる。そして、「裏切ったら家族に危害を加える」とか「家族に弁償させる」とか脅される。

そうやって逃げられないようにさせられて、一番ワリの悪い仕事をさせられることになるのだ。「ルフィ強盗団」の闇バイトに応募した若者たちは、みんなそうやって脅されて仕方なく犯罪に加担していったのである。

「接触したら終わり」なのである。

このルフィ強盗団の事件は連日のように報道され、闇バイトが日本でクローズアップされ、マスコミは「こうした闇バイトは高額であっても手を出してはいけない」としたり顔で解説した。

しかし、もしかしたらこれは逆効果になったかもしれない。

マスコミが喧伝したせいで、今まで情報格差の下層にあった「何も知らなかった若者」が「そんな高額のバイトがSNSにあるのか」と気づいて、アクセスするようになっていくからである。

非正規雇用で使い捨てにされる若者たち

2000年代の小泉政権時代から日本では非正規雇用がどんどん増えていき、評価されるべき学歴を持っている若者以外は、ほとんどが非正規雇用などで雇われるような社会になっていった。

そして、「若者の貧困」「経済格差」「家すら借りられずにネットカフェ難民になってしまう若者」が社会の底辺で定着するようになっていった。

仕事が少ない地方に住んでいる若者も、裕福ではない家庭に生まれた若者も、非正規雇用で使い捨てされる。

それでも、日本経済が成長しているのであれば、自ずと社会の底辺も底上げされて豊かになっていくのだが、日本は政治家と官僚の無能のせいで、バブルが崩壊した1990年からずっと「経済成長ができない国」に成り果てていた。

そうしている間に少子高齢化も放置されて解決不能になってしまっているので、税金も社会保険料も上がるだけ上がりまくり、今でも国民負担率は約48%、すなわち稼ぎの半分が税金で持っていかれるような社会となっている。

もはや将来に夢も希望も持てないような現状である。しかし、日本の高齢化がもたらす深刻な問題は「これからが本番」なのだ。日本はもっと増税され、もっと社会保険料も上がり、国民負担率もより重くなる。

若者は社会に出た瞬間におもりを背負わされて酷使され、使い捨てられる。その中で必死で働いても、政治家と官僚の無能のせいで国は成長せず沈んでいくだけだ。

Next: 日本の為政者は、そういう社会にしたいのか?

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