統一地方選挙が始まりましたが、939選挙区のうち348の選挙区、つまり37.1%の選挙区で、候補者が投票なしで当選しました。さらにほとんどの議員が立候補さえすれば当選するという現実は、有権者の投票習慣をさらに低下されることになり、議員という商売はますます「世襲化」していくことが予想されます。どこにも有権者の民意など反映されない猛烈な劣化社会が定着化するのは、もはや避けられないのかも知れません。(『 今市的視点 IMAICHI POV 今市的視点 IMAICHI POV 』今市太郎)
告示と同時に「無投票当選」
3月31日に41都道府県選(統一地方選挙)の告示が行われました。
そして、その直後に全939選挙区の実に37.1%となる348の選挙区で無投票当選が決定するという体たらくな状況に陥っています。
この状況は何も今回からはじまったわけではなく、すでに2019年の選挙時に全体の39%にあたる371の選挙区で定員を超える立候補者がなく、合わせて612人が無投票で当選を決めています。
今回の選挙で多少はその率が低下しているようですが、地方議員のなり手がおらず全国で「立候補した者勝ち」という日本の選挙制度の根幹を揺るがすような事態が進行していることが見えてくるところです。
議員のなり手は不在、有権者の関心も低いという最悪の状況
人口減少が急激に進むなかにあっては、さして魅力的な職業でもない県議会議員に立候補する向きで激減するというのは、大方想像のつくものがあります。
それにしても現場の実態は我々が想像するものよりもさらに深刻で、これが市議会議員・町議会議員・市長・村長レベルともなれば、もっと固定化してなんの競争環境も働かなくなっていることがわかります。
5割以上の選挙区で無投票となったのは、山形・群馬・山梨・岐阜・和歌山・岡山・徳島・高知・佐賀といった9県。そのなかでも岐阜・和歌山・徳島などは軒並み6割以上の選挙区で無投票が実現するという体たらくな状況となっています。
無投票選挙区の比率もさることながら、実際にどれだけ無投票で議員が誕生しているかが大きな問題となります
山梨では62.2%と実に県議会議員になる人物の6割以上が無投票となるというかなり異常な状況を呈しています。次いで高いのが和歌山の47.6%、さらに徳島の47.4%で、岐阜や広島も40%を超える状況です。
県議会議員の場合、知事の権限が絶大であるため、それを追認することだけが仕事になっており、
「やりがい」が極めて低いといった根本問題も立候補者を限定する要因になっている…といった指摘も出ています。
しかしよくよく見ますと、こうした無風当選の地域というのは、そもそも自民党が強い選挙区のように感じられますが、それも私の錯覚でしょうか。
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