日経平均株価はきょう6月13日の終値で前日比584円高の3万3,018円をつけ、バブル期以来の高値を更新しました。財務省の「投資家別売買動向」をみると、外国人による日本株買いは、今年4月の4兆9,760億円に続いて、5月も2兆7,447億円の買い越しとなっていて、10年ぶりの外国人相場の様相を呈しています。では、外国人投資家が日本株に引き寄せられた背景に何があったのでしょうか?3つの要因と、海外勢が一斉に逃げ出すリスクについて解説します。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)
※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2023年6月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
絶好調の日経平均、買い続ける海外勢はいつ逃げ出す?
日経平均株価はきょう6月13日の終値で3万3,018円をつけ、バブル期以来の高値を更新しました
この株高をもたらした主役は外国人投資家による日本株の「爆買い」です。4月以降ですでに約8兆円の買い越しになっています。
日本の株高の帰趨はこの外国人投資家の動向いかんとなります。では、彼らの日本株買いを誘った要因は何か、彼らが逃げ出すきっかけは何か、考えてみましょう。
アベノミクス以来の外国人買い
アベノミクスの初期にあたる2013年からは外国人投資家が短期間のうちに日本株を15兆円あまり買い越し、日経平均は安倍政権発足前の8,000円台から14年には一気に1万6,000円に駆け上がりました。あまりの速さに日本の投資家は付いてゆけず、外国人の一人勝ち相場となりました。
そしてこのところの日本株も、10年ぶりの外国人相場の様相を呈しています。
財務省の「投資家別売買動向」をみると、外国人による日本株買いは、今年4月の4兆9,760億円に続いて、5月も2兆7,447億円の買い越しとなっています。
その一方で、国内投資家は個人や金融機関を中心に売り越しとなっています。6月に入ってからもこのパターンが続いている模様で、10年ぶりの外国人相場になっています。
外国人を日本株に引き寄せた要因
では、外国人投資家が日本株に引き寄せられた背景に何があったのでしょうか。
バックボーンとしては米国株自体が景気後退懸念がある中でも高水準を続け、警戒感が出てきたこと、中国経済が不安定で、中国株を売るようになり、その受け皿が必要になったこと。
そして円安で日本株がドルベースでは割安になっていたことなどがあります。
そこへ、さらに個別の買い材料が出てきました。少なくとも次に挙げる3点は日本株の買い意欲を刺激したと見られます。