fbpx

伊東のハトヤ「平日ガラガラ」報告に広がる心配の声。昭和レトロはインバウンドに刺さらない説も、熱海の老舗巨大ホテルは外資に買われて大盛況の“明暗”

静岡県伊東市にある超有名ホテル「ハトヤホテル」だが、このところは平日ともなるとガラガラぶりが目につくといったSNS上への投稿が、旅行好きをはじめとした広い層から注目を集めているようだ。

投稿には、多くのテーブルと椅子が並ぶ広めな食事会場の写真が添付されているのだが、投稿者によれば実際に夕食・朝食を食べていたのは、全員で10人程度だったとのこと。異なる時間帯に食事をとった他の客がいることも当然考えられるものの、とはいえこれほどの広さの会場で10人程度の客しかいないとなると、閑散ぶりがより一層際立つのは間違いなさそうである。

さらに投稿によれば、館内を歩いても全然人と出会わず、風呂も貸切状態だったということ。ちなみに伊東にはハトヤのホテルが2つあるが、投稿者によれば泊まったのは、海沿いの「サンハトヤ」ではなく、山地に位置する「ハトヤホテル」のほうだという。

レトロ感が大いに支持を受けるも…

ハトヤといえば1960年代より、主に関東圏のテレビにおいて「♪伊東に行くならハトヤ」という歌詞が耳に残るTVCMを大量出稿していたこともあり、ある一定の年代以上の層には相当高い知名度を誇る宿泊施設。

開業は1947年ということで、伊東市内でもここ10年から20年程で、老朽化などで閉館する宿泊施設が相次いでいるなか、今も伊東を代表する老舗ホテルとしてあり続けるハトヤなのだが、今回の投稿を見るにその経営状況はかなり厳しいのでは……と、心配の声が広がっているところのようだ。

ちなみに旅行予約サイトなどで、最近のハトヤのクチコミを見てみたところ、やはり施設の古さを指摘する意見は散見されるものの、逆にその古さが織りなすレトロ感、また過去には大量の団体旅行客を連日受け入れていただけに、とにかく施設が巨大で豪華だといった、最近の宿泊施設では絶対に味わえないような、いわゆる“昭和っぽさ”が大いに受けているようである。

実際、平日はガラガラだという最近のハトヤも、土日になるとある程度客がいるという報告もあるのだが、とはいえそういった昭和レトロ感であるとか、あるいは先述したような「昔CMでよく見たあのハトヤ…」といった惹きが刺さるのは、やはり日本人がほとんどといったところのよう。

逆に、昨今では全国どの宿泊施設も大いに当て込んでいるインバウンドには、そういった魅力があまり伝わっていない、あるいはそもそも共感されないことが想定され、そのことが今回のような平日の閑散ぶりに繋がっているとも考えられそうである。

熱海の老舗巨大ホテルはコロナ禍で一時は営業終了も…

いっぽう、今回取沙汰されているハトヤの“平日のガラガラぶり”を受けて、対照的だと名が挙がっているのが、同じく東伊豆エリア・熱海にある「ホテルニューアカオ」だ。

1970年代に開業し、熱海の観光を支える巨大ホテルだったホテルニューアカオも、施設の老朽化やコロナ禍による客室稼働率の低迷により、2021年にその営業を終了

その後施設は、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに売却され、同ファンド系のホテル運営会社であるマイステイズ・ホテル・マネジメントのもとでリニューアルが施され、ニューアカオの名称はそのままに今年7月に再オープン。ただ、古き良き昭和の雰囲気は大いに残されているといい、そういった面も含めて再オープン後、大いに人気を博しているというのだ。

【関連】中国マネーに買われる日本の宿泊施設。瀕死のホテル業界とコロナ敗戦国の末路とは=原彰宏

日本各地のホテルや旅館が海外資本に買われ……といった話は、ここ数年よく耳にするところで、時には苦々し気な反応もあがることも多いのだが、このニューアカオに関しては、海外資本による買収が好感をもって受け止められている稀有な例といったところのようである。

このように、同じ東伊豆エリアを代表する老舗巨大ホテルでありながら、ある意味で明暗分かれるといった状況となっているニューアカオとハトヤなのだが、もちろん今回の投稿をきっかけに、苦境が伝わるハトヤに行ってみようか……といった声もSNS上では結構あがっているよう。

ただ、その反面では「1人客の平日予約を受け付けていなかった」「まぁ決して安くはないよな…」といった声もあがっているようで、図らずもその潜在的なニーズをイマイチ掬い取れていないといった状況も露呈している状況のようだ。

Next: 「この雰囲気を後に残したく…」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー