トヨタは大丈夫?
それに対し、トヨタは全方位戦略を打ち出しています。それは「EVもやるけど、ハイブリッドもプラグインも強化します」というものです。ハイブリッドにはすでに強みがありますから、EVに対する力感が気になります。
トヨタはBEVファクトリーというプランを打ち出し、26年までに2.5兆円を投資します。この金額は23年の営業利益額とほぼ同等の巨大投資です。さらに10月19日には、トヨタがテスラと同じ規格のEV充電を採用する、というニュースも入ってきました。やはり、EVの波についていかなくてはいけない、という使命感を感じます。
まとめると、アメリカ市場全体ではEVへの移行フェーズはあるものの、安全性能の懸念や充電設備の問題もあり、変化のスピードは決して早くない。
トヨタとしては全方位戦略でEVを拡充しながらも、市場ではハイブリッドが見直される展開が散見されるため、同社にとってやや良い市場動向に傾いてきている、
このような現状であると考えます。
従って、トヨタがアメリカで成功するためには
- EVの流れについていけるように投資を継続する
- EVの課題に注目が集まり、ハイブリッドの価値が見直される
このようなシナリオが必要だと考えます。トヨタはシナリオ1を継続しながらも、実現可能性がやや高くなってきているのはシナリオ2の方だと感じます。
なぜならば、車においてはガラケー→スマホのような大変革は起きづらいためです。
車は製造工程が多岐に渡り、商品自体も巨大です。さらに充電設備など周辺機器を整える必要があります。従って、EV化が普及するとしても、速度は速くないと考えます。EVが普及していくなかで、代替品としてのハイブリッドの利便性が見直されるフェーズにあります。
トヨタは確かにEVに遅れをとっていますが、そこまで悲観する必要はないと考えています。
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
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』(2023年10月25日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。