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トヨタ「EV出遅れ」を長期投資家が高く評価する理由。米国市場を制覇する2つのシナリオ=佐々木悠

電気自動車の波に乗れていない

あなたも感じるかもしれませんが、自動車業界で大きな変革が起きています。

それがCASEです。それはConnected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字から取った言葉です。

特に今回注目したいのは、Electric(電動化)です。電動化といえばアメリカのテスラや中国のBYDなどを思い浮かべるでしょう。

確かに、トヨタは電気自動車(EV)に強いとは言えず、販売数に占めるEV車の割合は1%以下であり、ガソリン車とハイブリッド車がその大半を占めています。

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出典:決算説明資料より作成

トヨタの現状は、この電動化の流れに遅れていると言って良いでしょう。

しかも、主戦場であるアメリカではテスラやその他の競合他社も存在しています。

トヨタの今後を考えるために、アメリカのEV市場の動向を確認しましょう

アメリカの電気自動車の現状を考える

まず、政治的には2032年までに2026年比で排ガスの56%減を要求しています。バイデン政権は、自動車メーカーに過去最も厳しい排出基準を課すことで、排ガス削減と電気自動車の普及を加速させたい意向です。これは、トヨタにとって向かい風と言えるでしょう。

これを受けて競合他社もEVへの投資を強化しています。

<テスラ>

新興企業であるため、開発→実装までのスピード感がある。EV専門で車を作り、広告宣伝費を行わないなど工夫しながら利益を上げ、EVの世界トップシェアである。今期は70億ドル(約1兆円)の投資を行う予定。

<GM>

35年までに新車販売のすべてをEVや燃料電池車(FCV)などゼロエミッション車にする計画を進めている。中期的には25年までに30車種以上のEVを発売し、EVと自動運転車に350億ドル(約4兆円)投資する計画。

<フォード>

30年までに世界販売の5割をEVにする計画。中期的には25年までに300億ドル(約3兆6000億円)を電動化へ投資すると発表しており、さらに投資額の増額を視野に入れているとされる。

このように、国はEV化を促進し、自動車メーカー各社もEV化を進める流れになっています。

しかし、アメリカの販売台数に占めるEVのシェアは6.7%と決して高いわけではありません。

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出典:【2023年最新】EVの普及率はどのくらい?日本と世界のEV事情を解説

また、消費者目線ではEVの課題を感じていることから、トヨタに強みがあるハイブリッド車に注目が集まっている現状もあります。

HV北米においてハイブリッド車の需要が増えている。完全EV社の人気低迷の理由として、初期コストの高さ航続距離への懸念充電時間の長さ充電ステーションの不足などが挙げられている。

〜中略〜

歴史的に見ると、米国ではHVが全体の販売に占める割合は10%未満で推移、モデル別ではトヨタのプリウスが長年にわたり人気を維持してきた。トヨタは完全EVへの投資をゆっくりと拡大する中で、HVが同社の長期的なEV化計画において重要な役割を担うとの見解を一貫して示してきた。

※出典:アングル:米国でHV車に想定超える人気、分かれる各社の戦略 – ロイター(2023年8月26日配信)

このようにアメリカの現状は、「国と競合他社はEV化に向いている。しかし消費者側はEVが普及しているわけではなく、EV特有の課題も感じている」このような現状だと考えます。

Next: トヨタは本当に世界から取り残されないのか?予想される2つのシナリオ

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