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なぜ安倍派と二階派だけが裏金捜査の標的に?米シンクタンクのレポートに書かれていた警告=高島康司

安倍政権に外交政策の転換を迫る

そして最後に、安倍政権に外交政策を転換するよう比較的に強い調子で迫り、文書を終えている。結論の重要な部分を訳出した。

「残念ながら現在の東アジアの情勢では、安倍のナショナリズムはアメリカにとって大きな問題である。

もし安倍のナショナリズムが東シナ海において不必要に中国を挑発したりするならば、信頼できる同盟国というワシントンの日本に対する見方を損なう恐れがある。

もし安倍の「従軍慰安婦」やその他の問題に対する姿勢が東京とソウルとの協調を損なうのであれば、この地域の軍事的な不確実性に対処するアメリカの能力を弱め、同盟の強化に向けたアメリカの外交努力を損ねることになりかねない。

特に基本的な人権という本質的な問題に対して、「日本はまったく理解していない」という見方を世界に広げることになる。

過去20年間、西側における日本のイメージは継続して改善してきたが、いま日本が海外に発信している内容は、これまでアジア諸国内の歴史認識の論争であったものを、大西洋を挟んだ問題(アメリカとの問題)に拡大する恐れがある。

ワシントンと東京は共通の歴史認識を持つ必要はないし、過去の過ちを日本が一方的に謝罪し、補償するようにアメリカは日本に要求することは間違っている。

だが東京は、これらの政治問題の重要性をよく認識し、可能な分野で歴史問題の緊張を和らげる努力をすることは重要だ。(中略)これは特に日韓関係で重要である。もし日韓両国が前向きであれば、大きな前進が期待できる。日本が発揮する柔軟性は、日本の保守層がナショナルプライドを放棄することにはならない」

以上である。

この文書は、外交問題分析の報告書という体裁だが、ジャパンハンドラーの牙城の「CSIS」から出るということは、日本政府に向けた明確なメッセージである。そうした文書の、「いま日本が海外に発信している内容は、これまでアジア諸国内の歴史認識の論争であったものを、大西洋を挟んだ問題(アメリカとの問題)に拡大する恐れがある」という表現は、安倍政権はすでに一線を越えており、ナショナリスティックな姿勢を改めないと、アメリカとの同盟関係を損なうことになるとの強い警告である。要するに、アメリカから脅されたのだ。

二階と二階派への警戒

これは、2014年当時の安倍政権のナショナリスティックな姿勢を批判したレポートだ。その後、安倍政権はオバマ政権の要請に従い集団自衛権を容認する「安保法案」を可決などしてアメリカとの同盟関係の強化を図ったが、それでも最終的に安倍政権はアメリカの国益に反する行動をするのではないかという疑心暗鬼は、強く残ったようだ。この疑心暗鬼は、2017年に「CFR」を完全に排除し、一国主義のトランプ政権になるまで続いた。

しかし2020年7月、トランプ政権の末期になると安倍政権への疑心暗鬼は復活した。7月30日、また「CSIS」は「日本における中国の影響:どこにでもあるが特定のエリアはない」という題名のレポートを発表した。これは安倍政権下における中国の影響力を調査したレポートだ。

このレポートは、安倍政権を特に批判したものではない。レポートは日本における中国の影響力を調査したものだ。中国はアメリカやヨーロッパをはじめあらゆる国々に経済的、政治的、そして文化的な影響力を強化する政策を実施しており、その多くはかなり成功している。たとえば、中国政府が世界各地に開設した中国の文化センター「孔子学院」は、特にヨーロッパ諸国で中国の文化的な影響力の拡大に貢献している。

この「CSIS」のレポートは、中国のこうした文化的影響も含め、日本における中国の影響力を文化的、政治的、経済的な側面から調査して、分析したものだ。

Next: 親中派の政治家を一掃したい?この時期に安倍派と二階派が狙われた理由

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