もしトランプが再び大統領になった場合、どのような政権で、何が起こるのかを解説したい。共和党政権の政策方針である「プロジェクト2025」というプロジェクトが存在している。これは、アメリカの民主主義を根本的に変えて、ホワイトハウスの独裁制にするプランだ。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
トランプの当選で始まるホワイトハウス独裁制
トランプ政権が成立した場合に起こる、アメリカ政治の根本的な転換について解説したい。
おおかたの予想通り、ことし秋のアメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びの初戦、中西部アイオワ州の党員集会で、トランプ前大統領は51.0%を獲得し、ほかの候補者に大差をつけて勝利した。
トランプは、4つの刑事事件で起訴されているほか、立候補資格をめぐっても各地で訴えが起こされており、選挙戦と裁判が並行して行われる異例の展開となっている。だが今回の選挙は、事前の世論調査どおりの勢いを示した形になった。
共和党の候補者選びの第2戦となる東部ニューハンプシャー州の予備選挙は今月23日に行われることになっている。事前の世論調査では、全国平均でトランプの支持率は62%と圧倒的なので、トランプが共和党の統一候補となる可能性は非常に高い。
一方、コロラド州やメーン州の最高裁判所はトランプの大統領選挙への立候補を禁止する命令を出したが、連邦最高裁判所はこれを覆し、立候補を容認する可能性が大きいと見られている。
そして、バイデンとの選挙戦を制し、2025年にはトランプは大統領として再度返り咲く可能性が出て来た。
トランプが大統領に就任すると何が起こるのか?
このように、いまトランプ旋風が吹き始めている。先のアイオワ州の予備選挙は、それが始まったことを告げる最初の機会になった。
では、トランプが実際に大統領になるとどんな政権になるのだろうか?
2020年までのトランプ政権は、一国主義が基本方針であった。このため、移民の入国制限と不法移民の排除、同盟国への経済制裁、同盟国との関係の希薄化、そしてNATOのような国際機関からの脱退や関与縮小、地球温暖化防止に向けた政策の全面的な見直しなどが基本政策であった。
一方、アメリカの世界への関与を縮小させたため、海外で戦争を引き起こすことはなかった。トランプがまた大統領になると、バイデンの国際協調主義から、こうした一国主義の政策に戻る可能性が高い。日本の主要メディアを見ると、このような観測が一般的だ。
しかし、トランプが大統領になると、アメリカの民主主義のシステムを根本的に変更する変化があると見た方がよい。