JR東日本が9日にスタートした新しいネットバンキングサービス「JRE BANK」が、人気殺到の影響か、口座開設手続きがスムーズに行えないトラブルが多発しているようだ。
報道によれば、サービス開始日の9日には申し込み多数でメールの遅延が発生し、同日分の受付を終了したとのこと。
さらに、その後の10日~12日に関しても同様に受付終了となったようで、日曜日だった12日は14:48の段階で、早々に口座開設申込の受付を終了する旨のアナウンスが、JRE BANKの公式Xアカウントで公表される事態になったようだ。
多数の口座開設申込をいただいておりますため5/12(日)の口座開設申込受付を終了いたしました。
明日は楽天銀行システム定期メンテナンスに伴い、7時(予定)以降からJRE BANKウェブサイトまたはJRE BANKアプリより、お申込みいただきますようお願いいたします。
ご不便をおかけして申し訳ありません。— JRE BANK【公式】 (@JREBANK_JP) May 12, 2024
そのいっぽうで、申し込み自体は首尾よく済んだというユーザーからは、そのあと先方からメールなどが届かず、いわゆるなしのつぶての状態となっているといった声もSNS上では多く聞かれるなど、混乱が続いているといった状況のようだ。
今日もメール来ないよ
#JREバンク さん受付登録番号だけ来たって進められないじゃん 初日の午後にやったのにー— ちゃみ (@WCj14h) May 13, 2024
午前に申し込んだJREバンク、申込完了メールすら全く届かないんだけど大丈夫…?
— 夢見る株おばさん (@kuzukabusodate) May 13, 2024
「東海も同様の作って!」他エリア民からも熱視線
JRE BANKは、JR東日本グループのビューカードが、楽天銀行のサービスを代理業者として提供するもの。
JR東日本の喜勢陽一社長が“100万口座”の達成を目標として掲げていた同サービスだが、その達成のためには手段を選ばずといったところか、その特典の類がとにかく豪華というのが、サービス開始前から大いに話題となっていた状況。
例えば、JRE BANKに50万円以上預金するなどの条件を満たせば、JR東日本の片道運賃を最大で年10回まで4割引きとなる優待券が、また同条件のSuica利用者には、普通列車のSuicaグリーン券を無料で年4枚まで提供するといった特典も。
他には、JR東日本の新幹線停車駅47駅からランダムに選ばれた4駅に行ける「どこかにビューーン!」の割引クーポンも年12枚まで配布するほか、さらに同グループのホテルの宿泊料金を最大20%引きもあるなど、まさに鉄道会社ならではといった内容で、そのうえ割引率も結構高いものが目白押しだというのだ。
jreバンクええやん!って思ったのに西日本ほぼ意味なしマジ?
くそがあああああ— くりか (@crika_uwem) May 9, 2024
JREバンク、キャンペーンも特典も凄いけどやはり関西に住んでいると東海道新幹線がJR東海なのでやはりメリットが。。
東海も同様の作って!と思っても東海道新幹線が屈指の利益率誇るドル箱路線なのでJR東海がJR東日本の真似するとは思えないし。。— masa_remo_牛-Bee (@masa_remo) May 10, 2024
その特典の豪華さゆえに、JR東日本のエリア外に在住の人々からも「ええやん!って思ったのに西日本ほぼ意味なしマジ?」「東海も同様の作って!」などといった羨望の声が広がっていたJRE BANK。
ゆえにサービス開始日から口座開設希望者が殺到するのも無理のないところだが、そうはいっても連日申し込み多数で受付を中断する事態となるのは異例で、そのうえ申し込みが上手くいかないというユーザーが続出しているというのは、それはそれでかなりの由々しき事態といったところだろう。
GmailがJRE BANKからのメールをスパム扱い?
それでは実際にどんなトラブルが起きているのかというと、SNS上の反応を見る限りでは、口座開設の申し込みをしたものの、登録したアドレスに“登録番号”や“アクセスキー”が記載されたメールの返信がない……といった症状が多いよう。
なかにはそれが届いていないにも関わらず、本人確認書類の登録を促すメールが届いているといった事例もあり、それらはアクセスキーが分からなければ不可能ということで、ユーザーらのイライラがさらに募る状況となっているというのだ。
JRE BANK側は公式のXアカウントで「一部のメールアドレスのお客さまへの配信が遅延しており」とだけ説明しており、何が不具合の原因なのかを今のところ明確にしていないのだが、SNS上で流布しているのが、どうやらGmailがトラブルの元凶なのでは……という説。
実際、Gmailを巡っては今年1月に、神奈川県の公立高校入試のインターネット出願システムにおいて、アカウントの登録にGmailのアドレスを使った出願者に対して、メールが届かないという不具合が発生。最終的に問題発生から解消までに1か月かかるという、受験生からすれば迷惑この上ないトラブルとなったことも記憶に新しい。
そんなGmailといえば、今年2月からGmailアカウントに一日あたり5000件以上のメールを送信する送信者に対して、「受信者がメール配信を容易に解除できるようにすること」など新たな3つの要件を満たすよう義務付けるなど、迷惑メール対策の強化に今まで以上に注力しているところ。
それゆえこの神奈川県の件でも、当該メールがGmail側にスパムと判断されてしまったのでは……といった話が取沙汰されたわけだが、実際Googleに問い合わせても回答がなかったようで、そのことも解決に時間がかかった要因となったというのだ。
そうなると仮に今回のJRE BANKの件でも、同じようなことが起きているのであれば、現在の混乱状態の解消にはしばらく時間を要する可能性も。数々の豪華特典を用意し、口座開設者の大量獲得を狙っていたであろうJR東日本だが、思わぬ形で躓くこととなった格好のようだ。
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