年間売上を店舗数で割った単店売上を計算してみると、2015年以降、着実に売上が下がってきていることがわかります。
そして、サイゼリヤの単店売上も入れてみると、単価が安いサイゼリヤはなかなかピザハットに追いつけませんでしたが、2022年に並び、2023年には追い抜いたことがわかります。客単価は2 分の1なのですから、サイゼリヤはピザハットの倍のお客さんを獲得しているということになります。
サイゼリアに対するSNSでの形容詞は「性価比最高餐庁」(コスパ最高レストラン)「最LOW餐庁」(最LOWレストラン)というものです。LOWなどの英単語がそのまま使われる時は、ポジティブなニュアンスを含んでいます。
サイゼリヤよりも安い飲食店はたくさんあります。中華ファストフードはメニューによる客単価ではサイゼリアと同じ40元強になりますが、実際はさまざまなクーポンを使って30元前後で食べられるようになっています。
このポジションが大きなポイントで「食事をするだけ」なら決して最安値ではないものの「多人数で楽しみながら食事をする社交性がある」レストランの中では最安値なのです。平日の昼や仕事終わりにはもっと安い麺屋などに一人で行って、さっと食事を済ませてしまう人も、週末になると家族や友人とサイゼリヤに行きたくなります。サイゼリヤは、客単価50元以上の飲食店から次々に客を奪っていて、これが客数の増加につながっています。
つまり、中国の景気が低迷すればするほど、サイゼリヤの客数が増える構造になっています。
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知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード
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』(2024年7月1日号)より一部抜粋
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