「問題児」の米スプリント事業
携帯通信事業とヤフーから湧いてくる多額の収入を投じている先がスプリントです。
スプリントはアメリカにおける第4位の携帯キャリアです。上位にはAT&Tとベライゾン、さらにTモバイルという会社があります。アメリカの大手携帯キャリアはこの4社で構成されています。
この中でスプリントは圧倒的な「負け組企業」です。これまで赤字を垂れ流し、資本を食いつぶしました。有利子負債を3兆円以上抱え、毎年の利払いは3,000億円にもなります。ソフトバンクが買収するまではどうにもならない状況でした。
ソフトバンクはこの問題児を買収することで、日本と同じように携帯通信事業を拡大させようとしました。そのために、競合のTモバイルの買収を試みましたが、アメリカ政府当局の反対にあい、実現することはありませんでした。
さらに、AT&Tやベライゾンもソフトバンクが日本でシェアを獲得した戦略を十分に勉強していましたから、前もって手を打っていったのです。
打つ手のないソフトバンクは、目標を財務改善に切り替えました。ひたすらコストを削減することで、未だに赤字となっているスプリントをなんとか黒字に持ってくることが当面の目標となっています。
スプリントはそれでも約5,000万人の契約者を抱えていますから、確実にコスト削減を行えば、やがてはキャッシュフローを生み出せる企業になっていくことは不可能ではありません。
しかし、そこまでの道のりは長く、スプリントを評価するまでは少し時間がかかりそうです。