5. 低所得者用大手チェーン店の破綻
このような状況は、低所得者用の大手小売チェーン店に大きな打撃となっている。アメリカには日本の100均にあたるダラーショップが数多くある。その中でも全国に数千の店舗を持つ「ファミリー・ダラー」がある。高インフレのお陰で最近まで「ファミリー・ダラー」は事業を拡大していたが、事業統合に苦戦したため、2024年に600店舗を閉鎖すると発表した。
また、同じ大手100均チェーンの「ダラー・ツリー」の株価は9月初め、同チェーンの期待外れの決算報告を受け、9年ぶりの安値まで急落した。
さらに100均チェーンの「ダラー・ゼネラル」の株価は、同社が通年の売上と利益のガイダンスを下方修正し、低所得層の顧客がこの不況で苦戦していることを示唆したため、急落した。他のチェーンよりも地方の顧客をターゲットにした「ダラー・ゼネラル」の株価は、決算報告後に25%急落した。
このような低所得者用の大手小売チェーンの不振は、低所得者の可処分取得が大きく減少していることを示している。これは、米経済の景気後退を示す重要な指標のひとつである。
株を大量に売ったウォーレン・バフェット
そのような中、アメリカを代表する投資家のウォーレン・バフェットが、手持ちの株を大量に売っていることが分かった。バフェットが経営する会社、「バークシャー・ハサウェイ」は、2024年の第1四半期に1億株以上のアップル株を売却し、第2四半期にはさらに3億9,000万株を売却した。
また、9月3日から9月5日の間に、米国第2位の銀行である「バンク・オブ・アメリカ」の株、1870万株を売却し、およそ7億6,000万ドルを手にしたと発表した。
このバフェットによる手持ちの株の大量売りは、なにを意味しているのだろうか?ウォーレン・バフェットは明らかに将来の市場の暴落を懸念しているように見えるがどうだろうか?
いずれはやってくる市場の暴落と世界不況
さて、このように見ると市場の暴落と世界的な景気後退は、比較的に早い時期にやってくるように見える。
もちろん、すべての専門家が米経済の景気後退を予測しているわけではない。インフレが鈍化して、米国の経済拡大は続き、第2四半期の実質GDP成長率は堅調で、上方修正によりさらに良くなりそうだという見通しもある。日本をはじめ多くの主要メディアはこのような見方を出している。
しかし、米経済紙を丹念に読むと、アメリカの実体経済に関してはロクなニュースがないことも事実なのだ。







