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ロッキン、来年から9月の開催に。“夏フェス第一世代”の高齢化が進むなか、より涼しい時季への日程変更に歓迎の声が多数

国内最大級の野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」(ロッキン)が、近年の気候変動を鑑みた結果、これまでの8月上旬の開催から、来年2025年からは9月のシルバーウィークでの開催を予定していると発表した。

公式サイト上に公開されたリリースによれば、2025年からは千葉市蘇我スポーツ公園にて、時期を9月のシルバーウィークに移して開催するとのこと。サッカーJリーグの試合日程との兼ね合いがあるため、正式決定は先になるとのことだが、9月13日(土)、14日(日)、15日(月・祝)/20日(土)、21日(日)の5日間を理想として現在調整だという。

リリースには、開催日程変更に関してすでに5年くらい前から検討を重ねていたとあり、出演アーティスト構成が多様なため毎回フェスに慣れていない初参加者も多いロッキンだけに、熱中症のリスクが付きまとう8月での開催を継続することは困難だと判断したようだ。

高齢フェス民が過酷環境の現場を回避する動きも

1997年に山梨県の富士天神山スキー場で初めて開催された「フジロックフェスティバル」が嚆矢となり、音楽好きの間で広まっていった日本におけるロック・フェス文化。

現在のフジロック開催地である苗場スキー場のある新潟県湯沢町では、ふるさと納税の返礼品としてフジロックのチケットや関連グッズを提供し、大いに人気を博すなど、都心から離れた地で開催されることも多い様々な音楽フェスは、その開催地に大きな経済効果をもたらすまでの存在となっている。

いっぽうでそんな音楽フェスといえば、先述したフジロック初開催の際も、台風接近による豪雨に見舞われるなどした影響で、体調不良で倒れる来場者が続出したこともあり、2日目があえなく中止となってしまうなど、夏特有の悪天候に悩まされることもしばしば。

例えば今年これまでに開催されたフェスでも、9月上旬に栃木県真岡市内で開催された「ベリテンライブ2024 Special」において、会場付近に複数回の落雷があり、仮設テント内で待機していた清掃ボランティア9人が軽傷を負い、6人が救急搬送されるという出来事が。

そもそも宇都宮が昔から“雷都”と呼ばれるなど、日本でも有数の雷の多いエリアとして知られる栃木県だが、夏の時季となれば猶更ということで、折から強い雨が降っていたところに雷が落ち、それによって感電したことが負傷の原因に。ライブには1万人を超える観客が集まっていたのだが、この影響もあり途中打ち切りとなった。

さらに、今年の連日にわたる猛暑が大いに祟る格好となったと、SNS上などで大いに話題となったのが、8月に東京・お台場にて開催された「CRASH CRISIS」。

LOUDNESSやSHOW-YA、人間椅子などといった国内のハードロック、メタルシーンにおいてレジェンドと目されるバンドが多く集結したこのフェスだったのだが、いざフタを開けてみると、SNS上には参戦したファンからの「会場がガラガラ」「前方しか埋まってない」といった声が溢れるまさかの展開に。

その原因として大いに取沙汰されたのが、開催された場所が海沿いのアスファルトの会場だったという点。上からは灼熱の日差し、そして下からはその照り返しという、相当過酷な環境となることが想定されるなかで、40〜50代がメインとされるヘビメタファンの多くがそういった状況を回避したことが、そんな思いもかけないほどの不入りに繋がったというのだ。

「もはやロッキンじゃない」との声も

このように真夏のシーズンにフェスを行うことの“弊害”も、ここに来て散見されるようになったことを受け、開催日程の変更という決断を下したロッキン。

そんなロッキンといえば、2000年の初開催以降、長らく茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園を会場としていたのだが、コロナ禍の最中だった2021年の開催が、地元医師会による圧力で中止に追い込まれたことをきっかけに、翌2022年からは会場を千葉市の蘇我スポーツ公園に移転。

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そんななかで今年は、蘇我とひたちなかの2会場で計10日間の開催だったのだが、来年は日程が9月に変わる上に蘇我のみの開催になりそうということで、ひたちなかでの開催を望む向きからは、もはやロッキンじゃない、全く別のフェスで開催しろといった不満も噴出している状況。

いっぽうで、単純に真夏の8月よりかはいくぶん暑さも和らぐ9月に日程が変更される件に関しては、フジロックやサマソニといった他の人気フェスと日程が程よく離れるということもあり、「ありがたい」「助かる」といった肯定的な声が多くあがっているようだ。

思えばフジロックの初回に20代で参戦したといった日本における“フェス第一世代”も、今やすでに50代も少なくないといった状況。フェス民の高齢化が進むなかで、今回のようなより過ごしやすい時季への日程変更は、ごくごく自然な流れだとも言えそうだ。

Next: 「それならまた夏フェス行ってみようかなって」

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