新NISAをきっかけに投資を始めるサラリーマンが続出しています。おかげで好調を博している金融市場ですが、大挙して押し寄せる素人投資家から、大金を搾り取ろうとする詐欺師が暗躍する舞台とも化しています。今回は、私と顧問弁護士チームで、奇跡的に数千万円の被害を救出した事例をご紹介します。( 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 )
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』2024年10月5日号の一部抜粋です。続編にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。2012年独立。フランチャイズオーナーや投資家として活動。サラリーマン時代に副業で出版した『プロフェッショナルサラリーマン』でビジネス書作家デビュー。「仕事術」「お金」「コンディション」「副業」などテーマは多岐にわたり、異分野で10万部超えを3度達成。著者累計は49万部。これからは、サラリーマンでも副業やお金の知識向上が不可欠と実感し、啓蒙に尽力している。ビジネス誌やwebメディア掲載実績多数。『まぐまぐ大賞』を7年連続受賞。
素人投資家を狙う詐欺が横行
相変わらず、インフレが止まる気配はありません。なかなか収入が増えないサラリーマンにとって、すでに残業も禁止され、副業も道半ばとなれば、残る収入を増やす手立ては投資くらいしかないのが実情です。
実際、最近は新NISAを始めるサラリーマンが続出しています。おかげで好調を博している金融市場ですが、大挙して押し寄せる素人投資家から、大金を搾り取ろうとする詐欺師が暗躍する舞台とも化しています。
今回は、私と顧問弁護士チームで、奇跡的に数千万円の被害を救出した事例をご紹介します。被害に遭われたTさんは、たまたま私のセミナー受講生だったため、辛くも難を逃れました。
現代社会では、資産運用は必須の選択肢である以上、この事例は、決して他人事ではありません。皆様も、重々お気をつけいただければと思います。
※本記事は、Tさんへの取材をもとに、筆者(俣野)が適宜内容を補って執筆しています。
詐欺案件との出会いの場は、意外と身近に溢れている
俣野:どのような経緯で詐欺案件をつかまされたのか、その経緯をお話しください。
Tさん:Facebookを見ていた時に、流れてきた広告が始まりでした。
「あなたも税金を払い過ぎていませんか?一定以上の収入があるサラリーマンの方は、特に多額の税金を払わされています。あなたも節税を行なって、資産の流出を食い止めましょう」といったような内容でした。
その広告を打っていたのは、税理士法人の代表でした。国際税務にも明るいとの触れ込みで、しっかりした印象がありました。将来のために、資産形成について漠然と考えていたこともあって、とりあえず話だけでも聞こうと思い、無料オンラインセミナーに申し込みました。
俣野:どんな内容でしたか。
Tさん:講義の内容は、「事業を始めることによって、事業で出たマイナス分をサラリーマン収入と相殺することで節税できる」というものでした。
話の中で、事例として挙げられていたのが、航空機リース、コインランドリー、不動産投資、太陽光発電の4つで、それぞれのメリット・デメリットが○△✕でわかりやすく図で説明されていました。
税理士法人の代表が一押ししていたのが、太陽光発電でした。他の投資は、売りたい時に売れないとか、減価償却をする際に難がある、といった理由を並べ、「今、投資にもっとも向いているのが太陽光発電です」と力説していました。
話を聞いた後、セミナー特典の無料オンライン面談に申し込みました。面談に出てきたのは、パリッとした格好をした若い男性コンサルタントで、いかにも金融機関の社員といった風情でした。
コンサルタントからも、「代表の説明にもあったように、太陽光発電が一番良いと思います」と言われ、次回の面談で私の収入状況を確認し、実際のシミュレーションをしてみようということになりました。
3回目の面談から、いくつか太陽光発電の物件を提示されました。太陽光発電は、土地にソーラーパネルを並べて発電するため、“物件”と呼ぶのが一般的です。
いくつか比較・検討を行い、6回目で契約をしました。ここまで、すべてオンラインで行い、契約も電子契約で締結しました。
俣野:どういう点が、決め手になったのでしょうか。
Tさん:太陽光発電には、固定価格買取制度(FIT)があって、国もバックアップしているという点で安心感がありました。償却資産効果で節税もできるという点に惹かれて、購入を決めました。
俣野:なるほど。確かに、彼らの話の大筋は間違っていないと思います。
「もしかして詐欺?」と感じたキッカケ
俣野:納得して投資を行ったはずのTさんが、「これはおかしい」と最初に感じたのは、どのようなシチュエーションにおいてでしょうか。
Tさん:2023年8月に契約をして、実際に売電収入が入ってくるようになりました。やはり、サラリーマンの所得以外に、固定の収入があるのはありがたいもので、当初は太陽光発電投資に何の疑問も抱いていませんでした。
24年に入り、太陽光投資がひと段落すると、「もう少し、他の投資にも手を広げたい」と思うようになりました。
いろいろ探しているうちに、サブリース契約で、物件管理も任せられる不動産サービスがあることを知りました。これなら、そこまで時間を取られずにできるかも、と思いました。