Tさん:ちょうど、俣野さんの副業コミュニティに加入していたこともあり、俣野さんにその業者の評判を聞いてみることにしました。
俣野:Tさんから問い合わせを受けたその不動産会社は、劣悪物件を素人に売りつけるひどい業者でしたので、「やめたほうがいい」とお伝えしたのですよね。
Tさん:俣野さんからそう言われて驚きました。広告から、そうしたことはまったく読み取れませんでした。それで「実は俣野さん、私は今、すでに太陽光発電をやっていまして…」と、現在やっている投資について話したのです。
最初に、太陽光発電投資に疑問を抱いたのは、俣野さんから「出力抑制があることをご存じですか?」と聞かれた時でした。
俣野:そもそも太陽光発電で利益を得るには、電力会社と連系する必要があります。連系によって、ソーラーパネルで発電された電力を電力会社の送電網に送り、買い取ってもらうことができます。
太陽光発電には、現在、FITという固定価格買取制度があります。再生可能エネルギーの普及を目的に作られた制度ですが、普及が進んできたこともあって、電力の供給が需要を上回る事態がしばしば発生しています。
特に九州や四国など、日照時間が長いエリアは、どうしても需給が偏ってしまうため、一部買取を抑制することで、需給バランスを図ろうというのが出力抑制です。
出力抑制は、後からできた制度のため、初期から投資を行っている投資家にとっては思わぬ誤算でしょうが、Tさんの場合は、出力抑制が始まった後に契約していますから、当然、シミュレーションの中に含まれていなければおかしい、とお伝えしたのです。
重要なことを、サラッと流すのが詐欺師の常套手段
Tさん:出力抑制自体は、税理士法人のコンサルタントからも、話は出ていたと思います。ただ、一般論的な話に終始し、私の物件に対しても抑制が行われている、という話はしていませんでした。
俣野さんに指摘されて、自分の物件について調べてみました。
私が購入したのは、2023年2月から連系している中古物件でした。私が契約したのは23年8月でしたが、この物件では、すでに3月から出力抑制がかかっていました。
当然ながら、私が購入した後も、結構な抑制がかかっていたことが明らかになったのです。
俣野:たとえコンサルタントから話が出ていたとしても、Tさんが出力抑制に関してまったくご認識がなかったという時点で、説明責任を果たしていたとは言い難いですよね。
Tさん:はい。税理士法人のシミュレーションでは、2024年の売電収入予測は、単純計算で月額13万5,000円ほどになっていました。ところが、実際は9万円台から12万円台にとどまり、5ヶ月で計30万円ほど予想を下回っていました。
税理士法人からは、「シミュレーションと実績の差は数%程度」と聞いていたのに、実際は20%近くもマイナスで推移していたのです。
最初は「まさか」と思っていましたが、我に返って調べてみると、いろいろな疑問点が噴出してきました。
たとえば、自分の土地ではない場所にソーラーパネルを設置する際、土地所有者との間に地上権(土地を使用する権利)を設定するのですが、その際、固定資産税と土地固定資産税をどちらが支払うのか、事前に取り決めが必要です。
ところが、私が購入した物件の土地固定資産税に関して、契約時に詳細な説明もなく、契約書の共有もありませんでした。実際には、2019年時点で前の持ち主との間で交わされた契約を引き継ぐことになっていたようですが、業者からの説明は一切ありませんでした。
また、ソーラーパネルにかかる固定資産税に関しては、23年に今の設備を設置したため、当年はゼロでした。24年から課税対象になることはわかっていましたが、コンサルタントからは3万円程度と言われていたのに、後になって、11万円かかることが判明しました。
他には、メンテナス契約も2通結んでおり、同額で片方は除草剤散布なし、片方は有りで契約するなど、あまりの杜撰さに、言葉が出ませんでした。
俣野:ひどいですね。