二酸化炭素の排出量を減らすとなると、水力発電のダムを新しく作るというのも限界がありますし、福島第一原発の事故以前は原発によって二酸化炭素を出さない方法を模索していましたがそれが一気に厳しくなりました。
太陽光発電は夜間に発電できなかったり電力効率があまり良くないという問題もあります。
火力発電所を新しく作ることになかなか積極的にはなれませんし、原発を動かすこともできないという八方塞がりの状況です。
そんな中での電力不足の問題ですが、もしかしたらこれがポジティブに働くかもしれません。
電力が足りなくなったら世間的にも原発を動かさざるを得ない流れになるかもしれませんし、火力発電所も作った方が良いということになるかもしれません。
なるべく二酸化炭素を出さない火力発電所を作る流れもあるかもしれません。
三菱重工が作るガスタービンが高効率で、同じ発電量でも二酸化炭素排出量が少ないという話もあります。
しかし、方向性は関西電力自身が決められるものではなく、国内外の政治の流れもありますし、原発にしても地元の反対が大きいかもしれません。
基本的には原発がカギを握っていると考えておいて良いかと思います。
電力株で考えるべきこと
最後に改めてまとめたいと思います。
ポジティブな点としては、AIのための電力消費が増加すること(10年、15年を考えるとすごく増える)、原発の再稼働の流れが続くなら安定して稼いでいけると考えられること、株価が下がって割安感があり、配当はかなり高いということ、これらが挙げられます。
一方でネガティブな点は、政治リスク、価格競争、財務リスク(有利子負債4.6兆円)というものがあります。
データセンターのためだけに発電所を作って契約するような新電力会社が出てきてもおかしくありません。アメリカでは小さな原子力発電所が注目されています。
これらの点を踏まえて投資判断を行っていただきたいと思います。
関西電力がどうなるかというより、電力不足に世界的にどう対応していくかということに注目するべきかと思います。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2024年12月23日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。