北朝鮮が約5年ぶりに外国人観光客の受け入れを再開しました。ただし、訪問可能なエリアは極めて限定的で、経済制裁による苦境を背景に、観光収入の回復を狙った動きとみられます。さらに、金正恩総書記は「ハワイを超えるリゾート開発計画」を掲げ、新たな観光戦略を推進。これにトランプ前大統領も関心を示し、意外な展開を見せています。果たして、北朝鮮の観光業は復活するのでしょうか?(「 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 」浜田和幸)
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プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき)
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
北朝鮮、外国人観光客の受け入れ再開
北朝鮮はこの2月20日から外国人観光客の受け入れを再開しました。
とはいえ、コロナ前と比べ、外国人が訪問できる場所は極めて限られています。
主な受け入れ先は羅先経済特区で、ビール工場、外国語学校、テコンドー教室、ロシア・中国・北朝鮮の国境の展望台のようです。
ビール工場では日本の技術の導入が進んでおり、美味しい生ビールが売り物とのこと。
コロナ前には中国からだけで35万人の観光客が訪れていましたが、今はせいぜい千人に達するかどうかと閑古鳥が鳴いています。
外貨獲得が狙いだが…
経済制裁の影響で厳しい環境に陥っている北朝鮮にとっては、少しでも外貨を獲得しようというわけで、今回の外国人受け入れ再開の決定になったようです。
最盛期には外国人観光客は年間2億ドルほど北朝鮮でお金を使ってくれていました。
これを取り戻したいと考えているに違いありません。
今回の受け入れ再開の決定を受けての第一陣はロシア人グループでしたが、その後、オーストラリア、カナダ、欧州各国、少数ですが香港、台湾、シンガポールからの観光客も徐々に戻ってきています。
とはいえ、5年近くも外国人の受け入れを拒否してきたため、北朝鮮の観光ガイドは英語がさび付いてしまったようです。
また、外国人との接し方もぎこちない有様が目立ちます。
ハワイを上回るリゾート開発計画?
何とか局面を打開しようとして、金正恩総書記が打ち出したのが元山を舞台にした「ハワイを上回るリゾート開発計画」です。
ワイキキ・ビーチをはるかに上回る5キロの海岸を整備し、高級ホテルも建設するとのこと。
水族館、ゲームセンター、劇場、水上公園、美容サロンなどを取りそろえ、ロシアや中国からの富裕層を呼び込もうという算段と思われます。
元山国際空港からも近く、ビーチのみならずスキー場にもアクセスが容易と言う触れ込みです。
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