トランプ大統領の右腕として注目を集めたイーロン・マスク氏が、ここにきて政府の仕事から一歩引くことになりました。官僚制度のスリム化を掲げたマスク氏でしたが、反発の嵐とテスラへの逆風が吹き荒れる中、再びビジネスの最前線へ。今、彼が本気で取り組んでいるのは、人間とテクノロジーの融合。脳とコンピュータをつなぐ「ニューラリンク」の実用化に、世界の視線が集まっています。(「 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』 」浜田和幸)
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プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき)
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
トランプとイーロン・マスクの関係に亀裂?
トランプ大統領の気持ちを鷲づかみにしてきたイーロン・マスク氏ですが、このところ2人の関係は微妙な局面に入ってきたようです。
というのは、大統領の指示のもと「政府効率化省」を立ち上げ、国家予算のムダを排するという名目で公務員の首切りに邁進してきたマスク氏ですが、多方面からの猛反発を受けています。
結果的に、マスク氏が経営する電気自動車テスラがあちこちで傷つけられたり、ボイコットの対象になってしまい、売り上げが急激に減少してしまいました。
全米各地で「反トランプ・反マスク」のデモが繰り広げられています。
そのため、トランプ大統領からも「本来のビジネスに集中すべきで、政府の仕事からは身を引くべきだ」と言われる有様です。
世界一の大富豪のマスク氏ですが、自らの仕事に精力を集中せざるを得なくなりました。
人間の脳とPCを接続「ニューラリンク」実用化へ
実は、テスラやスペースXに加えて、マスク氏は「未来の人間の能力を飛躍的に伸ばす」という触れ込みで、人間の脳をコンピュータと一体化させる「ニューラリンク」の実用化に新たな活路を見出そうとしています。
これまでは自分が実験台の第1号になると豪語していましたが、やはり四肢麻痺を患う人を対象にした方が説得力も増すとの判断から、3人の患者の脳にチップを埋め込む実験が行われてきました。
これまでのところ、経過は順調のようで、特に目立った副作用はなく、脳からの指示でコンピュータやスマホを自由に操れるようになったとのこと。
そこで、マスク氏は一気に実験台を拡大する決定を下しました。
すなわち、これまでは3人のアメリカ人を対象にしてきましたが、これからは「世界中の多様な患者を対象に6年間の時間をかけて効果のほどを検証する」というのです。
頭の中で「こうしたい。ああしたい」と意識するだけで、車椅子を含め、周りの機械を思い通りに操作できるといいます。
障害を抱える人々にとっては願ってもない朗報になるでしょう。
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