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なぜ住友ファーマ株が急騰?iPS細胞でパーキンソン病改善…長期投資の好機か=佐々木悠

今後の経営計画:再生・細胞医療事業の収益化が軸

住友ファーマの中期経営計画では、3つの戦略軸が示されています。

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  1. 既存の主力製品の販売拡大
  2. 低分子医薬品の創薬事業
  3. 再生・細胞医療事業の収益化

この3つ目の軸である再生・細胞医療事業、すなわちIPS細胞を使った治療法を収益の柱に育てていくことが計画されています。これが今後、同社の新たな収益源として大きく成長する可能性を秘めていると考えられています。これまでは既存製品の売上拡大が中心でしたが、再生医療分野への注力が新たな光となる可能性があります。

株価バリュエーション:現状の評価

現在の住友ファーマの株価バリュエーションは、PER(株価収益率)で約16倍となっています。これは、大赤字から黒字転換を発表したことが大きく影響していると考えられます。

現在のPER16倍は、あくまで今期の予想利益に対するものであり、この利益にはIPS細胞に関する大きな期待はまだ十分に反映されていません。そのため、なんとか赤字から復活して黒字になったという状況に対して16倍というのは、決して高くはなく、むしろ安いぐらいではないかという見方もあります。パーキンソン病治療への期待を考慮すると、まだ株価に織り込まれていない部分があるかもしれません。

バリュエーションにはある程度の実績が反映されていますが、パーキンソン病治療の現実性を踏まえると、少なくとも割高とは言えない水準です。

住友ファーマ<4506> 月足(SBI証券提供)

住友ファーマ<4506> 月足(SBI証券提供)

株価チャートを見ると、基本的には下がり続けており、特に2021年頃からラツーダの特許切れなど厳しい状況が続いていました。現在の株価水準は、ここからいかにして立て直していくかという段階に入ってきていると思われます。今後のパーキンソン病治療の話がどれだけ現実になるかは不確実ですが、将来に期待するに値するニュースが入ってきたと言えるでしょう。

医薬品、特に新しい治療法の開発には、成功するかどうかのギャンブル的な側面がどうしても伴います。しかし、住友ファーマのケースは、そうしたリスクを理解した上で検討するならば、宝くじを買うよりは確率は高いのではないかと思います。


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image by:Piotr Swat / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年4月29日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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