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なぜサンリオ株は10倍に上がったのか?3つの改革から読み解く強み・弱み、今後の投資リスクを解説=佐々木悠

サンリオの強みは何?

サンリオの最大の強みは、やはり「世界で愛される人気のキャラクターたち」にあります。ハローキティ、シナモロール、マイメロディといったIPは、サンリオの大きな資産です。

特にハローキティは、海外の調査会社のデータによると、これまでの累積総収益で世界のIPランキング第2位に位置しています。ポケモンに次ぐ位置であり、あのくまのプーさんやミッキーマウス、スターウォーズといった世界的IPをも上回る収益を上げています。

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出典:TITLEMAX

中でも、商品化による収益(マーチャンダイジング)では、ハローキティ単体でポケモンをも凌ぐ売上を誇ります。これは、Tシャツやコップ、文房具、アクセサリーなど、多岐にわたるグッズ展開が世界中で成功していることを示しています。

サンリオのビジネスモデルは、自社のキャラクターを使って他社に商品を製造・販売する「キャラクターライセンス」が中心です。これは、自社で大きな設備投資や在庫を持つリスクを負うことなく、ため、非常に「レバレッジが効く」効率的なビジネスモデルと言えます。

キャラクターの人気を維持するために、サンリオは毎年「サンリオキャラクター大賞」を開催し、消費者の関心を高める取り組みを行っています。意外にも、ハローキティは総合ランキングで常にトップではないことが多く、近年はポムポムプリンやシナモロール、クロミなどが人気を集めています。これは、ハローキティだけでなく、多様なキャラクターがファンに支持されていることを示しており、特定のキャラクターへの依存を減らすリスク分散にも繋がっています。

サンリオの弱みとリスク

しかし、どんな人気にも終わりは来るもの。「ブームはいつか終わる」というリスクは、サンリオにとって常に付きまといます。実際に、2015年頃には売上に占めるハローキティの割合が約70%と非常に高く、その人気が低迷するにつれて会社全体が赤字に陥った過去があります。

この教訓から、サンリオはハローキティへの依存からの脱却を進めてきました。SNSを活用してポムポムプリン、シナモロール、クロミなど「その他のキャラクター」のマーケティングを積極的に行い、特定のキャラクターに偏らない人気構造を築きつつあります。

それでも、サンリオキャラクター全体の人気を持続させるためには、常にマーケティングへの投資が必要であるというリスクは存在します。キャラクターの「鮮度」を保つために、2024年のハローキティ50周年イベントのように、継続的に話題を作り出す取り組みも行われています。今後もマイメロディ、クロミ、ポムポムプリン、シナモロールと、人気キャラクターの周年イベントが続く予定です。しかし、こうしたイベントが「常態化」することで、消費者が慣れてしまい、盛り上がりに欠ける可能性も考えられます。

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