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配当は過去最高「日本たばこ産業(JT)」今が買い?業績好調の3要因、増配にこだわる理由を解説=佐々木悠

JTの積極的な配当政策の背景

JTは配当金の分配に非常に積極的な企業です。その証拠に、同社の配当政策では「配当性向75%を目安とし、プラスマイナス5%の範囲で判断する」と明確に定められています。

「配当性向」とは、その年に稼いだ利益のうち何パーセントを配当に回すかを示す指標です。JTの場合、利益の約70%~80%を配当に回す方針であり、一般的な企業の配当性向(約30%)と比較すると、倍以上の水準と非常に積極的であることが分かります。

この積極的な配当政策の背景には、JTの特殊な株主構成があります。

実は、JTの最大株主は「財務大臣」です。これは元々国営企業だった名残であり、JTが国内外でのタバコ販売などで得た利益は、日本にとって重要な財源の1つとなっているのです。

そのため、今後もこの配当性向70%~80%という方針が変更される可能性は低いと推測されます。これは他の企業には見られないJTの大きな特徴であり、配当株としての魅力の根源とも言えるでしょう。

JT株への投資判断:既存保有者は「ガチホ」、新規投資は「配当目的」ならOK

これまでの情報を総合すると、JT株への投資判断は以下のようになります。

<現在JT株を保有している方>

基本的にこのまま保有し続ける(ガチホ)ことをお勧めします。

JTの成長を支えるプライシングやM&Aといった強みは今後も業績を伸ばす可能性が高く、配当金も国にとっての重要な財源であることから、急激な減配(配当性向の割合縮小)のリスクは低いと考えられます。

<今から新規で投資を検討している方>

「配当金」を主な目的とするならば、十分に投資する価値はあります。

前述の通り、今後も業績を伸ばし、積極的な配当が継続される可能性が高いと見られるためです。

投資における注意点とリスク

ただし、投資には常に注意点が存在します。

<株価の大きなサイクルとESG投資の影響>

JTの株価は、過去に大きなサイクルで動いている傾向が見られます。

特に2015年頃をピークに、コロナ禍前後まで株価は下落傾向にありました。この時期には、ESG投資(環境・社会・ガバナンスを重視する投資)の動きが活発になり、タバコ関連銘柄が投資対象から敬遠された影響があったと考えられます。

しかし、2022年頃からは、商社や保険会社など大型の配当銘柄に買いが集まる流れの中で、JTもその好業績に加えてこの流れに乗って上昇してきました。

<現在の株価水準と割安感>

2025年8月6日時点のJTのPERは約17倍であり、過去10年間の平均PER約15倍と比較すると、「超割安」とは言えない水準にあります。現在の配当利回りは4.4%です。

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JT株が「超割安」だった時期は2020年から2021年頃で、当時は配当利回りが6%を超えていました。それに比べると、現状は割安感やお得感が若干薄れている可能性があります。

Next: JTは買いか?長期投資家が注視すべきこと

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