営業利益の推移と事業ポートフォリオの比較分析
これら4社の業績を長期的なスパンで見ると、各社の立ち位置の違いが鮮明になります。

営業利益の規模で圧倒的なのは住友電気工業です。
全方位で事業を展開しているため、その利益体積は他を圧倒しています。
一方で、成長率で目を見張るのがフジクラです。
2020年以降、稼ぐ力を急速に高めており、住友電気工業を追い上げる勢いを見せています。
これに対し、古河電気工業とSWCCは上昇率こそ緩やかですが、古河電気工業が一度大きく落ち込んだところから急激なV字回復を見せている点は注目に値します。

なぜこれほど各社で利益の出方が異なるのか。
その理由は「利益の構成比」にあります。
各社の事業を「情報通信(赤)」「自動車(緑)」「電力インフラ(青)」という3つの軸で分けると、その特徴が浮き彫りになります。

フジクラは、利益の大部分を赤い部分、つまりデータセンター関連の「情報通信」で稼ぎ出しています。
これに対して、住友電気工業と古河電気工業は緑の部分、すなわち「自動車関連」の利益比率が非常に高いという特徴があります。
SWCCは青い部分、すなわち「電力ネットワーク」関連のウェイトが最も大きくなっています。
電線の種類と役割
「電線」と言っても、実際には用途によってまったく異なる製品が存在します。
1つ目は、現在最も需要が高まっている「通信用電線」です。
音声や画像、データを送るためのインフラで、代表格は光ファイバーケーブルです。AIの普及によって、都市間、あるいは国を跨ぐデータ通信量が爆発的に増えており、データセンター同士やサーバー同士を繋ぐための需要が急増しています。

2つ目は、自動車の神経系とも言える「輸送用電線」です。具体的には「ワイヤーハーネス」を指します。
車が単なる移動手段から「動くデバイス端末」へと変化するに従い、車内を張り巡らされる電線の需要も高まっています。
3つ目は、エネルギーを運ぶ「電力用電線」です。
発電所で作られた電気を変電所に送り、そこから工場、ビル、家庭、そして膨大な電力を消費するデータセンターへと届けるためのものです。
特にAI向けのデータセンターは通常の施設よりも桁違いの電力を消費するため、既存の電力網を再整備する必要があり、ここに新たな需要が生まれています。
フジクラの「スパイダーウェブリボン」が変えた世界
フジクラが2020年以降に急成長を遂げた最大の理由は、情報通信事業における圧倒的な差別化製品「スパイダーウェブリボン」という光ファイバーケーブルにあります。
この製品の凄さは、驚くほどの「細さ」「軽さ」「曲げやすさ」にあります。
通常、光ファイバーを増設しようとしても既存の配管がいっぱいで入らないという問題が起きますが、フジクラの細いリボン型ケーブルであれば、既存の配管のわずかな隙間を縫って増設することが可能です。
これにより、顧客であるGAFAなどの巨大テック企業は、施工コストを劇的に抑えることができます。
輸送コストも低減できるため、フジクラの製品は「他社より高くても売れる」という、製造業として理想的な高付加価値モデルを確立しているのです。