住友電気工業の「全方位型」の強さと垂直統合モデル
住友電気工業は、フジクラのように特定の製品に依存するのではなく、データセンター投資の恩恵を多角的に受けています。
同社は単なるケーブルだけでなく、コネクタ、光配線機器、光システム製品までを網羅し、セットで供給できる体制が強みです。
また、同社を支えるもう一つの柱が自動車関連事業です。
現在はコロナ禍の混乱から回復し、原材料コストの上昇分を適切に価格転嫁することに成功しています。
さらに電力インフラ分野でも、海底ケーブルなどの大型案件を欧米で次々と獲得しており、製造から施工まで自社グループで完結できる垂直統合モデルが大きな武器となっています。
古河電工とSWCCの独自戦略
古河電気工業もデータセンター向け製品や自動車用ワイヤーハーネスが好調で、業績はV字回復の途上にあります。
SWCCも、フジクラと同様にデータセンター向けのリボン型光ファイバーケーブルを展開しているほか、電力インフラ向けに「サイコネックス」というブランドで、小型・軽量・省力化を実現した電力接続部品を提供しています。
2034年に向けた成長シナリオとAI需要の行方
世界の電線・ケーブル市場は2034年に向けて年平均約6%強、中でも光ファイバー市場は年率10%を超える成長が見込まれています。
AIが社会実装されるに従い、フジクラのような高付加価値な光ファイバーケーブルといったところの需要が伸びていくのは容易に想像できます。
AIデータセンターは大量の電力を消費するため、脱炭素の観点からも再生エネルギー経由での電力網再整備が不可欠であり、これも電線メーカーにとっては追い風となります。
バリュエーションの壁と将来の期待値
最後に投資判断のポイントをまとめます。
フジクラのPER42倍といった数字は、今後の成長率が10%程度であれば、ペグレシオ(PER÷成長率)の観点からは決して割安とは言えません。
しかし、保守的な予測を上回って日本企業独自の技術が世界を席巻し続けると考えるのであれば、PER20倍前後の住友電気工業などはまだ狙える水準にあるという見方もできます。
電線関連銘柄は、一見地味な存在からAI時代の「主役」へと躍り出ました。
今後数年の成長率をどう見積もるかによって判断は分かれますが、インフラとしての不可欠さと技術的障壁には引き続き注目が必要です。
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『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年2月17日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。