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中国に“離婚”迫られた韓国、カネで買ったAIIBポストを失い茫然自失=黄文雄

韓国が今も味わう「千年属国」の悲哀とは

そもそも、中国にとっては経済にしろ企業活動にしろ「政治」なのです。「08憲章」で中国の民主化を訴えたことで逮捕され、現在も刑務所に入れられている劉暁波氏が2010年にノーベル賞を獲得したときは、ノルウェーからサケの輸入を中断しましたし、同様の嫌がらせは枚挙に暇がありません。

結局、中国主導のAIIBに参加するということは、つねにこうした政治リスクがつきまとうということです。中国のご機嫌を損ねれば制裁措置を取られる。これは中国の夷狄に対する「懲罰」という中華思想そのものです。1979年の中越戦争にしても、中国は「懲罰」と称してベトナムに侵攻しました。

台湾ではそうした認識があるため、AIIBには参加せず、TPP加入を検討していたわけです。

それにしても、昨年の9月には朴槿恵大統領が西側諸国として唯一、中国の「抗日戦勝70周年記念式典」に出席したほどの蜜月ぶりでしたが、それから1年もたたずに中韓関係は一気に冷え込んでしまいました。これも中国としては韓国を属国としてしか見ていなかったことの現れです。属国風情が中国に歯向かっているから、懲罰を与えているという意識でしょう。

中国政府からすれば、北朝鮮と韓国の忠誠心および友好度を競争させながら、「戦略的属国にすることが国家戦略となっています。しかし北朝鮮はすでに半世紀以上の中国との「兄弟関係」の経験があるため、いかにして中国を操るかということの要領を得ています。

しかし韓国は日米との関係を睨みながら、その一方で中国を操る能力はありません。そのため目の前の利益ばかりに気を取られ、結局は暴走してババを掴まされるということになってしまうわけです。

現在の韓国メディアや韓国企業の狼狽ぶりはすさまじいものがあります。上記の新聞記事のように、韓国メディアは一斉にこのAIIBの副総裁ポスト消滅とTHAADへの中国の反発を伝えています。そして「あくまでTHAADは北朝鮮向けであって、中国には脅威にならないことを説明する必要がある」とも説き、中国の不興を買ったら韓国企業に大打撃となると論じています。

加えて、オランダ・ハーグ常設仲裁裁判所でフィリピンが提訴した南シナ海領有権判決が出ましたが、これについても韓国メディアは「中国に対して中立的な立場をより一層明確にしなくては」と力説しています。
あす「南シナ海判決」…もう一度試される韓国外交「米中間等距離戦略」

韓国の千年属国の悲哀を目の当たりにするかのような光景です。明の時代には使節を迎える迎恩門を建てさせられ、清の時代になると明への忠誠心を見せたことで清に攻められ(丙子の役)、三田渡でホンタイジに三跪九叩頭の礼で属国となることを誓わせられ、さらに自らの過ちと清の皇帝を賛美する大清皇帝功徳碑を建立させられるなど、朝鮮半島の歴史はつねに事大によって大国に翻弄されてきたわけですが、それは現在でもまったく変わっていません。

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