Q12:株式を疑似債券と考え、期待収益率を計算せよ
【1.10年後BPSを求める】
まず10年後のBPSを求めます。過去10年の平均EPS成長率に1を足して、10乗したものに、現在BPSをかけます。これが10年後のBPSとなりますね。
(必要な値)
・年平均EPS成長率:37.5%
・現在BPS:402.83
(式)
10年後BPS=年平均EPS成長率^10×現在BPS
(答え)
*10年後BPS(円/株):9699.5
【2.10年後EPSを求める】
今求めた10年後BPSに過去10年平均ROEをかけます。これが10年後のEPSです。
(必要な値)
・過去10年平均ROE:21%
・10年後BPS(円/株):9699.5
(式)
10年後EPS=10年後BPS×過去10年平均ROE
(答え)
*10年後EPS(円/株):2036.9
【3.10年後予想株価を求める】
さらに、過去10年の平均PERをかけることで、10年後の予想株価が算出されます。
(必要な値)
・過去10年平均PER(倍):31.3
・10年後EPS(円/株):2036.9
(式)
10年後予想株価=過去10年平均PER(株価/EPS)×10年後EPS(円/株)
(答え)
*10年後予想株価:63,754.9
【4.年間期待収益率】
この予想株価を現在株価で割り、0.1乗し、マイナス1したものが、年間期待収益率となります。
(必要な値)
・10年後予想株価(円/株):63,754.9
(式)
・年間期待収益率=((10年後の予想株価/現在の株価)^1/10)-1
(答え)
*期待収益率(%/年):42.3%
【結果】
コチラも文句なし。超高水準です。事業も悪くありませんし、今後の業績も安定度は高いです。これまた素晴らしい企業です。
ただ、1つ懸念点も。新しい会社であるだけに、情報が不十分です。通常であれば、過去10年の業績を参考にしますが、今回は上場して間もないということで、情報が入りにくいため、5年分のデータしか分析していません。
つまり、鳥貴族がリーマンショックを経験したときのデータがないわけです。次の「リーマン級ショック」でも、飲み会は減少するでしょう。そのとき企業が存続できるのか?
もちろん、安めの価格設定ですので、不景気になってむしろ伸びる可能性も秘めていますが、飲み会の数自体が減少するようにも思います。
つまり、不景気になった時の底堅さは、証明されていないということです。期待収益率は申し分ありませんが、その点は覚悟しておきたい部分です。
結論:鳥貴族への投資はあり?なし?
鳥貴族はいい企業だと思いますが、まだ若い企業です。正直、何が起こっても不思議ではありません。さらに有名になり、さらに大きな問題を起こした時に買うのもアリなのかなとも思います。
もちろん、全くナシとまでは考えていませんが、やはり10年分の再現性が欲しいですね。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年8月22日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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