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割安株投資のはずが大損…「バリュートラップ」を回避するポイント=栫井駿介

「成長期待」と「将来への不安」を明らかにする

もし、全ての投資家がPERだけをもとに取引をするならば、いずれ全ての銘柄のPERは1つの水準に収束するでしょう。そうならないのは、各企業への「成長期待」と「将来への不安」が異なるからです。そこまで理解しなければ、本当に割安なのかどうかを判断することはできません。指標を使ったスクリーニングは入り口としては使えないこともないですが、最終的には企業の実態を見ることが絶対条件です。

あなたがPERで割安な銘柄を見つけたとしましょう。それ自体は素晴らしいことですが、そこからさらに分析が必要です。なぜそんなに割安に放置されているのか、原因を探らなければなりません。

「成長期待」が低い銘柄は、当然PERが低くなります。明らかな衰退産業で、業界トップでもないなら、将来性は見込めないでしょう。よほどのことがない限り、このような銘柄に長期投資する魅力はありません。

大きなリスクを取っていたり、業績が大きくブレる銘柄は「将来への不安」が大きく、PERは低くなりがちです。ただし、このような銘柄は事業が成功するなどの不安が解消された時に大きく上昇する場合があります。

指標と実態との「ズレ」を見つける

割安に放置されている原因を理解したら、それが本当に企業の価値に対して大きなマイナス要因となるかを検証する必要があります。例えば、石油関係の銘柄が原油安の影響で大きく割安になっているとしても、実は原油価格の影響をそれほど受けないのであれば、実態以上に割安に評価されている可能性は十分にあります。

株価は短期的には人の心理で決まるものです。人の心理は絶対的なものではなく、ちょっとした出来事で大きく動きます。人の心理と企業の価値との間に乖離を見つけることができてはじめて、バリュー株投資家としては一人前です。

もし指標面で割安な銘柄を見つけて、その原因がわからなかったり、割安である自信が持てなかったりしたら、ぜひ私に聞いてみてください。専門的な観点からその企業を分析し、割安かどうかについての意見を差し上げます。

つばめ投資顧問は相場変動に左右されない「バリュー株投資」を提唱しています。バリュー株投資についてはこちらのページをご覧ください。記事に関する質問も受け付けています。

※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年8月30日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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