ドイツやチェコが備えているのは戦争か
ドイツ政府やチェコ政府さらに欧州各国が、国民に水・食料備蓄を呼びかける状況が近い将来起こることを予期しているとするなら、おそらくそれは大規模な戦争以外にはないだろう。
本格的な戦争か、その予想を越える余波であれば、水・食糧不足は十分に考えられる。しかしいまのヨーロッパで、そのような事態になることが予期できるほど、戦争は差し迫っているのだろうか?
ロシアとウクライナが本格的に衝突?
このように聞くと、そんなことはとてもじゃないが考えられないと思うかもしれない。実はいま、そのような可能性が100%否定できない状況にある。
2015年2月15日、ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスの各国は、ウクライナ東部の親ロシア派が支配するドネツク州およびルガンスク州の個別の地域において、遅滞なく、かつ全面的に戦闘を停止すること、およびこれを厳格に履行することとした停戦合意、いわゆる「ミンスク合意」に署名した。
これで、ウクライナ政府と、分離独立ないしはロシアへの帰属を求めた東部諸州との内戦は、一応終結した。散発的な戦闘はあるものの、停戦合意はおおむね守られ、現在に至っている。
そのため、2014年には大きなニュースであったウクライナ問題も、最近では注目されることはほとんどなくなった。
しかし8月7日、これを覆すような事態が発生した。残念ながら、日本ではこれはほとんど報道されていない。
ロシア特殊部隊とウクライナ工作員が交戦
ロシアの国営メディア『スプートニク』などによると、8月7日の夜半、7人からなる工作員のグループが、ウクライナとの国境に近いクリミアのアルミャンスク近郊へ上陸した。
ロシア保安庁の特殊部隊はこれを発見し、これを阻止しようとして銃撃戦となった。特殊部隊員1人と侵入した工作2人が死亡。残りの5人は逮捕された。
捕らえられた工作員のほとんどがクリミア市民で、そのうち数人はロシアのパスポートを所持していたが、これが本物かどうかは確定していない。
拘束された5人の供述によると、彼らは「ウクライナ国防省中央総局」により上陸訓練も受けたという。また、自分たち以外にもクリミアへは同様の工作員グループが派遣されている事実を明かした。
工作部隊の目的は、人的被害を出さずにクリミア半島にパニックを引き起こし、「観光業を抹殺」することだとしている。