では、どうすれば良いのかどうかと言えば、第一に、「良いROE主義」と「悪いROE主義」とを区別する基準はROEにあるはずはないのですから、「良いROE主義」と「悪いROE主義」とを区別するためには、ROE「以外」の基準が必要だ、ということになります。
では、良いROE主義と悪いROE主義を区別するための基準とは何かと言えば、それは、株主以外の利益、つまり、「顧客、社員、そして、生産性や技術といった、様々な要素」に対して、その企業がどれだけ「貢献」しているか、という基準です(買い手良し、売り手良し、世間良しの「三方良し」の理念にそった基準、ということですね)。
それは丁度、「PBを改善すりゃいい」という「PB至上主義」は完全な間違いですが、「成長するということを前提にPBできるなら、それは望ましい」という議論と全く同じです。
では、「ROE至上主義」が間違いだとして、どういうROE主義ならいいのか、そしてそのためには、どういう基準を具体的に用いればいいのか、そしてその基準を満足させるためにはどういう仕組みが必要か、という事が次の焦点になるのですが──それについては、また次の機会に考えてみたいと思います。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/9/7号より
無料メルマガ好評配信中
三橋貴明の「新」日本経済新聞
[無料 ほぼ日刊]
●テレビ、雜誌、ネットで話題沸騰!日本中の専門家の注目を集める経済評論家・三橋貴明が責任編集長を務める日刊メルマガ。三橋貴明、藤井聡(京都大学大学院教授)、柴山桂太(京都大学准教授)、施光恒(九州大学准教授)、浅野久美(チャンネル桜キャスター)、青木泰樹(経世論研究所 客員研究員)、平松禎史(アニメーター・演出家)、宍戸駿太郎(國際大学・筑波大学名誉教授)、佐藤健志(作家・評論家)、島倉原(評論家)、上島嘉郎(ジャーナリスト/元「正論」編集長)などの執筆陣たちが、日本経済、世界経済の真相をメッタ斬り! 日本と世界の「今」と「裏」を知り、明日をつかむスーパー日刊経済新聞!