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私が考える「良いROE主義」と「悪いROE主義」の違い=内閣官房参与 藤井聡

もちろん、次のような企業は素晴らしい企業だといえるでしょう。

『ROEをあげるのが良いことだと言われ、
その言葉の意味をしっかりと咀嚼し、
生産性を上げ、より良質な製品を生産することが必要だと考え、
投資を行い、賃金も適正に支払い、
必要不可欠なコストは絶対削らずによい原材料を仕入れ、
これらを通して「売り上げを増やす」事を通して、
純利益を拡大し、
ROEの向上に成功した企業』

こういう企業は、ROEの向上を通して配当を増やして株主を喜ばせるだけでなく、給料を増やして社員を喜ばせ、取引が活性化することで取引先を喜ばせ、そして何より、サービス向上を通して客を喜ばせることになります。

したがってこういう企業は、株主だけでなく「皆」を幸福にする企業なのであり、総合的な意味において、「良いROE主義」の企業だと判断することができるでしょう。

しかしROEの向上に成功する企業は、こうした「良いROE主義」の優秀な企業だけではないのです。例えば、次の様な企業は「素晴らしい企業」と呼べるでしょうか?

『ROEを『兎に角』あげるのが良いことだと言われ、
その言葉を素朴に信じ
(あるいは、その言葉をもっけの幸いとばかりに逆手に取り)、
「純利益」をてっとり早くあげるために、
(会社員のことなど考えずに)会社員の給料も削り、
(未来の技術発展や生産性向上のことなど考えずに)研究開発費も投資も削り、
(客のことなど考えずに)とにかく原材料費を削り、
「売上」を上昇させないまま
(あるいは、サービス劣化のために「売り上げ」が減少してまでも!)
上記のコストカットを通して、「純利益」を増やし、
ROEの向上に成功した企業』

こういう企業は、確かに配当が増える株主は喜びますが、それ以外はみな、そのダメージを被ります

なぜなら、

社員は給料を削られ、
顧客はコストパフォーマンスが劣化したサービスを売りつけられ、
取引先は取引が縮小され、そして、
投資を削減することでその会社自体も中長期的に生産性を劣化させていく、

からです。だからこういう企業は、総合的な意味で「悪いROE主義」の企業だということができるでしょう。

Next: 跋扈(ばっこ)する「悪いROE主義」。

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